道州制導入を通じて分権型国家の構築や広域経済圏の形成を提案する日本経済団体連合会は、このほど、具体化に向けての第2次提言をまとめた。道州制推進基本法(仮称)の制定に向けた検討や国と地方の事務・事業を配分する第3者機関の設置、道州の区割り決定に向けたプロセスの明確化など、2015年からの道州制導入を提案し、そのための道州制導入に向けたロードマップも示している。
経団連では、道州制導入については、現在の都道府県を廃止し、これに代わる広域自治体として全国を10程度に区分する「道州」を新たに設置。そして、地方公共団体を道州および基礎自治体という二層制にし、道州、基礎自治体それぞれが自治権を活用し、真の住民自治を実現するために必要な権限と財源をあわせ持つようにする、と位置づけている。
これにより、国の役割は外交や防衛など必要最小限のものに限定され、国民の日々の生活に関わる政策の大半は、道州、基礎自治体がそれぞれの地域の実情や地域の経営戦略に基づき立案・実施されることになることから、明治以来の中央集権体制から地域自立体制へと、行政の姿が大きく変わるとしている。
この制度は「行政のあらゆる面を見直す『究極の構造改革』であり、百年有余続いてきた中央集権体制のもと、国が政策を立案、法を運用し、行政権を行使するシステムを根本から見直すものになる」と提言。
道州制導入による行財政改革の推進で経団連のシンクタンク・21世紀政策研究所の研究では九州7県で地方公務員の総人件費が2727億円、公共投資の効率化で6218億円が削減され、合計8945億円の財源が新たに生まれるとの試算が出ている。全国を対象とした場合、地方公務員の総人件費の削減により1兆5130億円、公共投資の効率化により4兆3353億円、合わせて5兆8483億円(国民1人あたり4万5772円、2008年10月時点の試算)の財源を生み出すことが可能になる。
道州制導入への環境整備を図るために、経団連では、地方分権改革の断行(道州制導入を前提として、国から都道府県、都道府県から市町村への思い切った権限、財源、人員の移譲や、法令の規律密度の緩和、二重行政の解消の実現など)、地方支分部局の整理、職員定数の大幅削減の実施(国から地方公共団体へ大幅な権限・財源の移譲、業務の移管などの実施。地方支分部局で働く国家公務員については、配置転換や地方公共団体への転籍を進めるほか、地方公共団体において同様の事務・事業が行われている場合には、さらに民間企業への転出を促すことも必要)、地方公共団体の行財政能力の強化(市町村数は1999年3月31日現在での3232から2008年11月現在の1782まで減少。2010年には1773になる予定だが、道州制の導入後に、地域の文化や歴史を踏まえ、住民の意向を尊重しつつ、将来的に市町村数が1000程度に集約されるよう環境を整えるべき)などを求めている。また、「道州制推進基本法」(仮称)の検討に着手し、早期に同法を制定すべきであるとしている。