御手洗冨士夫日本経済団体連合会会長は、「世界経済が同時不況に突入する瀬戸際に立たされている」と現況の経済状況に強い危機感を表明。「世界第2位の経済大国である日本としても、自らの景気を一刻も早く回復軌道に乗せることが不可欠。そのために、補正予算成立はもちろん、中小企業の資金繰り対策、個人・企業への減税など、緊急かつ思い切った景気対策を検討すべき」と政府に対し、追加施策を求めた。
また、同会長は8日の会見でも「各国の株式市場に負の連鎖が広がり、日本の株式市場でも連日の大幅な下落が続いていることは、極めて憂慮すべき事態」と語り、「世界的な金融システム不安の拡大を一刻も早く断ち切らねばならない。各国政府・金融当局には、一層の協調・連携の上、金融システム不安を早期に沈静化してもらいたい。日本としても緊急かつ思い切った景気対策を」と景気浮揚策を改めて強力に求めた。
同会長は、今月6日に開かれた日米財界人会議でのスピーチでも「昨年の夏以降、経済状況が一転し、住宅バブルの崩壊、資源エネルギー価格の急激な変動、金融システムの不安定化など、次々と問題が発生し、世界経済全体が減速傾向を強めている。すべての国々の政府当局、われわれ経済界が協調・連携をとりながら、力を合わせていくべき時であると考える。そして、今、日本国民の最大の関心事として、社会保障制度の綻びや、持続性に対する不安が挙げられる。このことが、消費者マインドを萎縮させ、国内の消費が盛り上がらない一因ともなっている。麻生総理には、まず足元の景気を立て直すとともに、信念を持って、税制・財政・社会保障の一体改革などに正面から取り組み、国民に日本の進むべき道筋を示していただきたい」と政府が緊急になすべきことを指摘していた。