「CEATEC JAPAN 2012」は今年も様々なテクノロジーを見せてくれたが、特に印象深かったのはスマートフォンとそれを連携するイノベーションの数々だった。
パナソニックのブースは家電メーカーの中でも、スマホとの連携を打ち出している内容が特に際立っており、タブレットPCも含めた家電とのネットワークを分かりやすく疑似体験をさせるデモンストレーションを行っていた。調理器具や健康器具を”スマート家電”として連携させ、そのライフスタイルを提案するやり方だ。また、シャープは今年5月に発売したAI「ココロエンジン」を搭載した掃除ロボット「ココロボ」が、撮影した画像の閲覧やエアコンの操作などを外出先からスマホでできる機能をデモしていた。
家電だけではない。EVとの連携を披露したのはトヨタだ。こちらのブースでは一人乗り用EV「Smart INCECT」のコンセプトモデルを展示。ドライバーのスマホとリンクして音声認識によるナビなどのデモを行っていた。
一方、連携の中心にいるキャリア側はどうだろう。
KDDIのブースで一番目立っていたのが「Smart TV Box」。テレビと繋げて地デジやケーブルテレビを受信するもの。同社はテレビの重要さを再認識し、そこにスマホでできるアプリの活用やモバイル機器としての連携を実現しようしていた。あくまでも中心がテレビで、スマホは連携するアイテムとして捉えている所が他とは違う。
NTTドコモは家電メーカーのように、家電を連携させたライフスタイルの提案をする一方で、スマホ自体の操作を進化させる研究段階の技術、実用的なアプリの展示、そして近未来の携帯端末の試作機デモなど、スマホの未来が、ますます幅広い用途で利用される可能性を大いに感じさせるブースの演出をしていた。例えば、スマホの操作を”握り”で行う「Grip UI」や、視線を検知して操作を行うタブレット「i beam」などのデモ機は、常に長蛇の列が出来るほどの人気で、その注目度の高さを証明していたし、翻訳サービス、海外での看板やレストランのメニューをスマホでかざすだけで翻訳するアプリなども人気が高く、常に多くの人がコーナーに訪れていた。
他にもNECの画像認識サービス「GAZIRU(ガジル)」やKDDIの掌紋認証技術などスマホの実用面での幅を広げる技術も多く見られた。
私たちの生活を便利にするための製品やソフトが多数登場するのは良いことだが、反面、スマホ頼みのテクノロジーが多過ぎるのは果たしていいのだろうか、という疑問も湧いてくる。これだけ活躍の場が多いスマホは、これからバッテリーの消費を抑えるなどの本体のテクノロジーの進化を多く求められるのは間違いない。同イベントでも展示されていたロームの個体型水素燃料電池など充電用の技術はワイヤレス充電なども含め進化の兆しが見られてはいるが、どうしても充電グッズを持ち歩く煩わしさからは当分解放されることはなさそうだ。