内閣府は8月の月例経済報告の中で、「景気はこのところ弱含んでいる」と7月に続き、景気が下降しているとの判断を示した。景気の先行きについても「当面、弱い動きが続くとみられる。アメリカ経済や株式・為替市場、原油価格の動向等によっては、景気がさらに下振れするリスクが存在することに留意する必要がある」とし、注意深く動向を見る必要を示した。
7月の月例経済報告では景気基調の判断は「景気回復は足踏み状態にあるが、このところ一部に弱い動きがみられる」との表現をとっていた。それが、8月では「このところ弱含んでいる」と景気全体が後退している表現に変わった。輸出は「弱含み」、生産は「緩やかに減少」、企業収益は「減少」、設備投資は「おおむね横ばい」、雇用情勢は「このところ弱含み」、個人消費は「おおむね横ばい」。先行きは「当面、弱い動きが続くとみられる」と景気判断は庶民の実感に近づいてきた、ともいえる。
ただ、こうした景気の厳しい状況を踏まえ、政府は「経済財政改革の基本方針2008に基づき、改革への取組を加速・深化する。平成21年度予算編成に当たっては、改革努力を継続するとともに、財政健全化と重要課題への対応を両立させる。また、最近における原油、食料、飼料、原材料等価格の高騰の影響を踏まえ、水産業についての抜本的対策を含め、6月26日に取りまとめた原油等価格高騰対策を着実に実施する。民間需要主導の持続的な成長と両立する安定的な物価上昇率を定着させるため、政府と日本銀行は、上記基本方針に示されたマクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、政策運営を行う」としている。
各論をみると、個人消費では「国内旅行、海外旅行とも前年を下回った。外食は、前年を下回った。先行きについても、所得が弱含んでいることもあり、注視が必要」と報告している。