印刷業界が需要の先細りに加え、過当競争、低収益と三重苦の中で苦しんでいる。特にペーパーレス化の進展で印刷業界は消耗戦時代に突入し、今後も資本力のない小さな企業の倒産が全国各地で増えるのではないかと帝国データバンクではみている。
印刷業界環境について帝国データバンクは「全国各地の印刷業界の経営はすでに限界に達しつつある」と相当厳しい見方をしている。
同社によると、今年上半期の印刷業者の倒産は法的整理に限ってみても68件(負債総額1000万円以上)と前年同期に比べ6.3%増えた。負債総額は64億8000万円だった。
負債規模では1億円未満のものが49件と小規模倒産が7割を超えた。また62件は売上不振によるものだった。放漫経営による倒産はなかった。
帝国データバンクでは「業界を取り巻く厳しい環境を反映しており、業績悪化から資金繰りに行き詰まるケースが目立つ」としている。
経費削減とペーパーレス化の推進で印刷需要は年々落ち込みを強めている。帝国データバンクも「ペーパーレス化の進展で市場規模が縮小し、少ないパイを奪い合う消耗戦の様相」とし、「体力的に劣る小規模業者を取り巻く環境に好転の兆しはなく、今後、さらに各地で倒産が増加する可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。(編集担当:森高龍二)