過疎化や農業従事者の高齢化などによる耕作放棄地が年々増加しているおりから、国土保全の視点からも対応策を検討することが必要として、農林水産省では耕作放棄地対策研究会を立ち上げ、第1回会合を7月1日に開催。現状を把握するとともに、委員から意見が提示された。第2回会合は7月15日に同省内の会議室で開かれる。現場の人たちから意見を聴く予定だ。
第1回の会合では(1)高齢化・労働力不足が耕作放棄地解消の一番のネック。農政の方向として、農地を借りやすく、貸しやすくするという農地の流動化は正しい選択であるが、思い通りに農地の流動化が進まない理由をもう少し検討する必要がある(2)国土の有効利用の観点から、人口減少していく中で、市街地の低未利用地の有効利用、或いは、耕作放棄地を自然に帰すということは、国土資源の適正化という意味でも望ましい(3)耕作放棄地のデータを広く公開し、全然違う地域の意欲のある法人や新規就農者へというマーケット開発が必要ではないか(4)耕作放棄地は農地が崩壊・原野化していく一種の過程であり、その過程を量として追うことはやや危険な面がある。今後、耕作放棄の量を示す場合には、注意書き、或いは、農地面積の減少とともに示す工夫が必要ではないか(5)土地持ち非農家をどうするかが課題である。流動化させるためには全員の同意が必要であり、とりわけ他出者から同意を得るのは大変。所有と利用をどう交通整理するかが大事(6)使わないままの農地がつぶされ、転用されていくようなことが防げないのであれば、優良な農地を守るための税制面や制度面で今以上の手立てがあれば考えるべきではないか。土地持ち非農家の問題は税制対策を抜きにはできない。交付税についても、耕地面積に注目した財政システムに少しずつシフトしていくことも考えるべき(7)耕作放棄解消のために、市町村レベルでの小さな単位で、農地の借り手のように個人で弱い立場の農家が相談できるような相談者・仲介人を整備する必要がある、などの意見が出されたとしている。
耕作放棄地とは以前に農地だったが、過去1年以上作物を耕作せず、今後数年の間に再び耕作するとはっきりした意思が示されていない土地で、平成12年の同省の調べでは全国に21万ヘクタールあり、年々増加傾向にある。その理由としては、高齢化と労働力不足を筆頭に、価格の低迷、農地の受け手の不足、生産調整での不作付け、基盤整備がすすんでいない、などがあがっていた。高齢化問題と価格問題が特に方策放棄地を増加させる要因になっている。