【日経平均】方向感定まらず25円安だがTOPIXはプラス

2013年06月18日 20:14

 NYダウは109ドル高。18日からのFOMCを前に量的緩和の行方について憶測が乱れ飛ぶ。午前中は「縮小観測を和らげる手段や発言がある」が優勢で高く始まり一時191ドル高になったが、午後はフィナンシャル・タイムズ電子版の「縮小は近い」という観測記事を発端に上昇幅が圧縮。ところがその記事を書いた記者が自分のツイッターで変な弁解をしたため値を戻す一幕もあった。こんな軽い記者がいると新聞は信用を落とす。18日朝方の為替レートはドル円は94円台半ば、ユーロ円は126円台前半だった。
 
G8サミットの「世界経済に関する首脳宣言」は、財政健全化を促しながらもアベノミクスを評価。日経平均は17.97円安の13015.15円で始まり、13006円を底にプラス圏に浮上し13100円台に乗せるが、9時半頃に先物主導で下落してマイナス圏まで下げる。いったん元に戻ったが、10時半頃からも同じようにマイナス圏に下落すると、今度は為替の円高もあり13000円を割り込んだまま前場を終えた。後場は13000円をはさんで上下せわしなく動く方向感が定まらない展開で、ほとんどの時間はマイナス。それでも日中値幅は220円でそれほど大きくない。TOPIXのほうはプラスの時間帯が大部分で安定していた。終値は、日経平均は25.84円安の13007.28円で小幅安だが3日ぶり反落。TOPIXは+1.68の1086.40と3日続伸で、久々の「NTねじれ現象」になった。売買高は24億株、売買代金は1兆9258億円でFOMC結果待ちの薄商いが続く。
 
 値上がり銘柄775に対して値下がり銘柄は813。値上がりセクターは海運、鉱業、保険、証券、石油・石炭、電気・ガスなどで、値下がりセクターは繊維、陸運、医薬品、非鉄金属、倉庫、パルプ・紙などだった。
 
 銀行はふるわず、メガバンク3行でプラスはみずほ<8411>の1円高だけ。証券は野村HD<8604>が15円高、大和証券G<8601>が17円高と堅調で、その他金融のアイフル<8515>は46円高。債券先物や長期金利の動きは安定し、不動産株は反発した。三井不動産<8801>は値動きなしだったが、三菱地所<8802>は46円高、住友不動産<8830>は10円高。東急不動産<8815>、東京建物<8804>も株価を上げ、ケネディクス<4321>は値上がり率12位に入った。
 
 自動車株ではトヨタ<7203>の上昇ぶりが目立ち100円高。13年度の国内新車販売を5万台上乗せして150万台にするというニュースで買われた。トヨタの連結子会社の日野自動車<7205>は70円高、トヨタが筆頭株主で提携関係にある富士重工<7270>も29円高。マツダ<7261>は4円高だったが、ホンダ<7267>は値動きなし、三菱自動車<7211>は1円安と明暗が分かれた。
 
 海運についてクレディスイス証券がレポートの中でセクター全体について強気のコメントを書き、商船三井<9104>と日本郵船<9101>の投資判断を引き上げた。その影響で業種別騰落率トップになり、商船三井は22円高、日本郵船は3円高、川崎汽船<9107>は4円高になった。一方でアステラス製薬<4503>が75円安、武田<4502>が70円安、塩野義製薬<4507>が58円安、中外製薬<4519>が52円安、エーザイ<4523>が45円安と、医薬品は不振だった。
 
 IHI<7013>は新素材を使用して省エネ性能を高めた次世代航空機用エンジンをGEと共同開発すると日経新聞で報じられて続伸し6円高。JFEHD<5411>はインドネシアで自動車用溶融亜鉛メッキ鋼板の工場を新設すると発表し25円高になった。約300億円を投資して2016年3月から生産を開始する。韓国サムスンと複写機部門でも協業すると報じられたシャープ<6753>は5円高。SMBC日興証券が投資判断を引き上げた明電舎<6508>は13円高だった。
 
 ソーシャルゲームのKlab<3656>は、当初9月の予定だった単月営業黒字化が新作ゲームの大ヒットで5月で前倒し達成と発表し、マイナス圏から後場いきなりストップ高比例配分に大化けし100円高、値上がり率2位に躍り出た。3Dプリンター関連銘柄の群栄化学<4229>は売買高2位、売買代金5位と大いに買われて続伸し50円高で値上がり率8位に入った。ニプロ<8086>は26日にジャスダックに上場するリプロセル<4978>株を11.36%保有することから売買代金11位と買いを集め91円高で値上がり率18位。ネット選挙関連のドワンゴ<3715>は同15位に入った。新興市場では「パズル&ドラゴンズ」が1500万ダウンロードを突破したガンホー<3765>が連騰し、バイオ関連もナノキャリア<4571>が4日ぶりに大幅な上昇をみせていた。
 
 この日の主役はソニー<6758>。朝から商いを伴って上昇し、86円高で株価2000円台を回復。売買高14位、売買代金はトヨタと争って2位。日経平均プラス寄与度は「御三家筆頭」のファーストリテイリング<9983>を押しのけて京セラ<6971>、トヨタに次ぐ3位に入った。株主提案を行ったサード・ポイントのダニエル・ローブ氏が平井一夫社長宛に書簡を送り、ソニー株の約7%の7000万株をすでに保有し、エンタメ事業の分離を改めて求めたことが明らかになり買いが集まった。ソニーの株主総会は20日に開催されるが、音楽、映画の分社化をめぐってひと騒動あるかもしれない。