【日経平均】薄商いでも自律反発気味に13000円台を回復

2013年06月17日 20:10

 前週14日のNYダウは105ドル安。FOMC前の様子見ムードに加え5月の鉱工業生産、ミシガン大学消費者態度指数が市場予測を下回るなど経済指標もパッとせず利益確定売りに押された。ドル円は一時93円台をつけ、17日朝方の為替レートはドル円が94円台前半、ユーロ円が125円台後半で、今週も円高の状況が変わらないまま取引が始まった。
 
 日経平均は102.15円安の12584.37円でスタートし12549円まで下げるが、その後はTOPIXがいち早くプラスになり、日経平均は先物に合わせて数値がピョンピョン跳ぶ乱高下を繰り返しながら上昇。それも午前9時台のうちにプラス圏に浮上して安定し、為替の円安進行とともに12700円台、12800円台と値を切り上げる。後場は為替がほとんど動かなくても日経平均が12900円台に乗せ、大引け9分前には13000円にタッチし、終値は346.60円高の13033.12円で高値引け。テクニカル面では移動平均乖離率や騰落レシオが「売られすぎ」のサインを出していたので、自律反発でリバウンドしたとも考えられる。TOPIXは+28.27の1084.72。薄商いが進んで売買高は25億株、売買代金は3月29日以来の2兆円割れで1兆9838億円だった。
 
 85しかなかった値下がり銘柄が不動産と空運の2業種に集中して東証1部33業種別騰落率がマイナスに。プラス下位は卸売、証券、その他金融、電気機器などで、プラス上位はその他製品、ゴム、ガラス・土石、水産・農林、化学、石油・石炭などだった。
 
 日経平均プラス寄与度上位は「御三家」に京セラ<6971>と信越化学<4063>を加えた5銘柄で日経平均を86円押し上げた。ドル円が94円台でも自動車株は元気を取り戻し、トヨタ<7203>は110円高、中国でHV車を生産するホンダ<7267>は50円高、富士重工<7270>は34円高、マツダ<7261>は6円高、インドネシアに新工場を建設する三菱自動車<7211>は4円高。電気機器は3Dプリンターを活用してコスト3割削減と報じられたパナソニック<6752>が29円高と買いを集め、総合電機の日立<6501>、東芝<6502>、三菱電機<6503>は前場はマイナスだったが、大引けで日立と三菱電機はプラス2円、東芝は値動きなしに滑り込んだ。医薬品ではエーザイ<4523>が220円高、武田<4502>が155円高と買われた。
 
 野村証券が投資判断を引き上げたIHI<7013>は14円高、メリルリンチ証券が投資判断を引き上げた千代田化工<6366>は84円高、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が投資判断を引き上げた住友化学<4005>は13円高で、いずれも後場に株価が一段高になっている。5月のたばこ販売が好調だったJT<2914>は165円高。カカクコム<2371>は175円高で年初来高値更新。金価格の下落を受けて住友金属鉱山<5713>は前場で年初来安値を更新したが、後場に値を戻して13円高で終えている。
 
 値上がり率ランキングは薄商いを反映して循環物色される低位株が次々とランクイン。売買高7位の鋼管メーカーの新家工業<7305>は48円高の193円で1位、本店が上野池之端にあり前週から上野動物園のパンダの出産期待で買われていた東天紅<8181>は38円高の267円で4位に入り、いずれも年初来高値更新。7位の東京機械製作所<6335>、9位の日本化学工業<4092>は終値100円台。5位のトクヤマ<4043>も前週末の終値は200円台だった。
 
 全面高に逆行してJAL<9201>が100円安で値下がり率17位に入るなど空運セクターは不振だったが、それ以上に下落が目立ったのが不動産関連株で、日経平均225種のマイナス6銘柄のうち5銘柄を55円安で値下がり率11位の三菱地所<8802>、45円安の住友不動産<8830>、16円安の三井不動産<8801>、4円安の東京建物<8804>、4円安の東急不動産<8815>が占めた。野村不動産HD<3231>や、東急コミュニティー<4711>、東急リバブル<8879>のような関連業態、不動産証券化のケネディクス<4321>も下落した。長期金利が上昇して東証REIT指数が下落し、日銀がJ-REIT買入枠を拡大すると報じられても100億円程度では物足りないようだ。5月の首都圏マンション販売動向が発表され、前年同月比で49.2%増加し契約率は78.1%という高率を示し長谷工<1808>は5円高、大京<8840>と明和地所<8869>は3円高だったが、タカラレーベン<8897>は31円安で値下がり率15位になっていた。
 
 この日の主役はゲーム関連銘柄。11~13日のアメリカの「E3」でマイクロソフトの「XBOX One」とソニー<6758>の「PS4」がお披露目されたのに続き、「東京おもちゃショー2013」が13~16日に開催され各社の新作ゲームが揃った。任天堂<7974>が890円高と好調で株価10000円台を回復し、ソニーは27円高。7月期第3四半期決算がよかったエイチーム<3662>は510円高で値上がり率6位、Klab<3656>は52円高で同18位に入り、ガンホー<3765>、クルーズ<2138>の新興市場勢も株価を上げた。DeNA<2432>は139円高でグリー<3632>も48円高だったが、コロプラ<3668>は155円安で、粉飾決算問題でこの日もストップ安で株価が4日で3分の1になったインデックス<4835>とともにカヤの外だった。(編集担当:寺尾淳)