NYダウは126ドル安。高く始まったが量的緩和の縮小懸念に足を引っ張られ終値は15000ドルを割って昨年12月以来の3日続落。最大の不安要素はFRBが買い支えてきた債券市場の軟化による長期金利の高止まりで、デリケートな状況は少なくとも来週18、19日のFOMCまでは続きそうだ。13日朝方の為替レートはドル円が95円台後半、ユーロ円が127円台後半で円高傾向に変わりない。取引開始前の外資系証券経由売買注文状況観測は2日連続で株数も金額も売り越しで、世界的な株式市場の軟化、売買の減少、リスクオフの影響が及んでいた。
メジャーSQ前のポジション調整で〃ウミ〃を出す最後のチャンスでもあり、下落には腹をくくるしかない日経平均は251.30円安の13038.02円で始まる。前場は13000円から12500円まで次々と割り込んで、ドル円は94円台に突入し、連休明け再開の上海市場も香港市場も大幅に下落して相場をさらに凍えさせる。下値を探り続けた末、873円安の12415円でようやく止まる。為替に連動して12587円まで折り返して前場を終え、後場はさらに値を戻し12600円台、続いて12700円台に乗せるが、午後2時台には為替が94円台で円高方向に振れたため、再び12500円を割り込み結局、843.94円安の12445.38円で取引を終えた。TOPIXは-52.37の1044.17。売買高は32億株、売買代金は2兆6935億円で今週は3兆円割れが続いている。
日経平均先物は遅れていた6月限から9月限へのロールオーバーが進み、裁定買い残もそれなりに減少したので14日のメジャーSQの波乱要因は小さくなってきたが、世界的なリスクオフで株が売られてヘッジとして円が買われる傾向が顕著に現れ、日本株の先行きに暗い影を落としている。大引け前の12500円割れには、「メジャーSQのランチャー(発射台)をできるだけ低くしたい」という思惑が込められているかもしれない。
東証1部の値上がり銘柄は90しかなく、業種別騰落率は全て下落。下落率が小さかったのは空運、鉱業、保険、電気・ガス、石油・石炭、その他製品などで、大きかったのはその他金融、情報・通信、証券、金属製品、食料品、小売などだった。
主力株は総崩れで日経平均225種でプラス銘柄はゼロ。それでも終盤までプラスで粘ったのは保険大手のMS&ADHD<8725>と関西電力<9503>だった。マイナス寄与度上位はファーストリテイリング<9983>、スプリント・ネクステル買収の先行きが不透明になるばかりのソフトバンク<9984>、京セラ<6971>、前日の主役のファナック<6954>で、合わせて日経平均を225円押し下げた。値下がり率ランキングは4位に日野自動車<7205>、7位にソフトバンク、8位にアドバンテスト<6857>、10位に宝HD<2531>、13位に東洋製罐HD<5901>、14位にファーストリテイリング、15位に日立建機<6305>、19位に横河電機<6841>と、主力株がゾロゾロ入っていた。
2015年にアメリカで燃料電池車を発売と報じられたトヨタ<7203>は270円安。東南アジア4ヵ国で合計1兆円規模の発電事業を展開すると報じられた丸紅<8002>は23円安。今期、前期の2倍の1200億円を調達してシェールガスの権利取得などの成長投資を行う東京ガス<9531>は13円安だった。マスコミで大騒ぎのプロ野球の「飛ぶボール」問題に関してボールメーカーに罪はないがミズノ<8022>は14円安。武田<4502>は、2017年度に新薬比率を欧米製薬大手並みの3割にするニュース、イスラエルとインドのジェネリック医薬品メーカーから得る特許侵害の和解金21.5億ドルをファイザーと分けあって7.74億ドルを受け取るニュースが入ったが、175円安で終わった。
広島県の業務用ポンプメーカー、横田製作所<6248>がジャスダックに新規上場。午後2時30分に公開価格720円の約2.4倍の初値1702円がつき、終値はさらに伸ばし2102円。晴れの新規上場日がこんな日に当たって気の毒だったが、よく健闘していた。
この日の主役は値上がり率ランキング上位に揃った「PBR1倍割れの低位株」。1位で終値9円高の111円だった建築用タイルのダントーHD<5337>はPBR0.32倍、5位で終値7円高の153円で売買高7位にも入っていた消防用ホースの芦森工業<3526>はPBR0.79倍、10位で終値8円高の257円だったジーンズショップのジーンズメイト<7448>はPBR0.46倍、12位で終値4円高の146円だった築地市場仲卸の東都水産<8038>はPBR0.59倍。値上がり率2位のエレマテック<2715>、3位のデンヨー<6517>、7位の日本バイリーン<3514>、9位のミツウロコGHD<8131>、11位のケーヨー<8168>も低位株ではないがPBR1倍割れ。PBR(株価純資産倍率)1倍割れ銘柄は株価が企業の解散価値を下回っていて、ましてや低位株なら「これ以上、下がりようがないだろう」と下値不安が小さく、この日のような全面安、大幅下落の日には個人投資家に物色されやすい。もちろん、その日のうちに売って手じまいするデイトレード向きの銘柄だ。(編集担当:寺尾淳)