地上デジタル放送推進総合対策 夏までに作成へ

2008年06月20日 11:00

 増田寛也総務大臣は総務省ホームページに開設している「増田寛也からの元気のでる便り」のコーナーで2011年7月24日の地デジへの完全移行を踏まえて「地上デジタル放送推進総合対策をこの夏までに作成したい」との意向を語るとともに、地デジのメリットを紹介し、完全移行へ、国民の協力と理解を求めている。また、地デジに関する国民の質問、相談に対応するセンターを「今年の秋に各地方ごとにつくり、相談にできるだけ分かりやすくお答えできるよう努めたい」との意向を示している。

 増田大臣は「元気のでる便り」の中で、2003年12月に、東京、名古屋、大阪で地上デジタル放送(いわゆる地デジ)が開始され、2006年には全放送事業者がデジタル親局を開局し、本年3月末には、全国世帯の約93%へ電波で放送を送り届けることができる状況になった。

 地上デジタル放送受信機も急速に普及し、総務省調査によると、世帯普及率は、昨年3月時点で約28%だったが、本年3月時点には約44%となり、普及世帯数は約2200万世帯になっている。これは、2003年の地上デジタル放送開始前に立てた普及目標とほぼ同じ普及状況になっている。しかし、地上アナログ放送の終了時期が2011年であることについて知っている人は64・7%で、昨年の60・4%からあまり伸びていない。このため、周知に努める必要がある、としている。

 地デジへの移行の必要性について大臣は「アナログ放送では難しかったいろいろなサービスが簡単なリモコン操作で行うことができる。データ放送により、ニュース、天気予報など様々な情報をリアルタイムに入手できる。テレビを見ながら、視聴者がクイズ番組の解答者として番組に参加できるなど新たな形の番組を視聴者に送り届けることもできる。字幕放送が標準装備されるなど、高齢者や障害者にもやさしいサービスの充実が期待される」ことを第1にあげている。

 また、デジタル化により電波を有効に使うことが可能になることを第2の利点にあげている。大臣は「デジタル化完了後は、今までアナログテレビ放送が使っていた周波数の約65%に効率化が図られ、残りの周波数は、ニーズの高まっているほかの用途に使うことができます。具体的には(1)需要が増えて周波数の確保が必要となる携帯電話などの移動通信(2)外出時や移動中でも、報道、スポーツ娯楽番組や、音楽、ゲームなど、いろいろな情報を携帯電話などの端末で楽しめるマルチメディア放送(3)安心安全のために、災害時などに自治体、消防、警察などが使う通信の高度化(4)車どうしが通信を行い、衝突する前に運転者へ危険を知らせて交通事故を防いだり、交通渋滞を軽減するなど、道路交通問題解決の画期的な切り札となる「高度道路交通システム(ITS)」の4つの用途に用いられる予定」としている。

 3つ目として「放送のデジタル化により、ますます日本の関連産業の国際競争力が強化されるとともに、新規ビジネスや雇用の創出など、大きな経済波及効果があるものと期待される」ことをあげている。