ひょうたん印の森井食品が賞味期限改ざん

2008年06月09日 11:00

 お中元商戦に向けて動きだしている最中、ひょうたん印で知られる奈良県桜井市の森井食品が手延べ三輪素麺で販売先から返品された商品を包装し直し、新たな賞味期限を表示して再度出荷・販売していたことが農林水産省近畿農政局と東海農政局の調査で分かり、農林水産省は6月6日、JAS法に基づく改善命令を出した。葛きりについても同様の行為があったとして、改善を指示した。同省は、同社に対し、7月7日までに品質表示に関する責任の所在を明確にするとともに、社内での品質表示のチェック体制の強化、拡充などの再発防止対策などを講じ、農林水産大臣あてに提出するよう、命令している。

 食品業界の相次ぐ賞味期限の偽装、返品商品の再販売など、商業モラルの低さと懲りない体質に消費者の不信はまだまだ、払拭できそうにない。特に、素麺や葛きりは季節商品の性格が強く、6月から8月が最大の商機だけに、業界関係者のショックも大きい。

 農林水産省によると、近畿農政局は5月12日から27日まで森井食品を、東海農政局は同5月12日から29日にかけて森井食品の関連会社の森嶋食品工業所を調査しており、その結果、「伝承手延三輪素麺」など48製品について、販売先から返品された商品を包装し直し、再包装した日を起点として新たに1年6ヶ月先の賞味期限を表示し、再度出荷・販売していたことや、少なくとも、こうした行為が7年前から今年5月9日まで森井食品が森嶋食品工業所に行わせていたこと、平成19年には1万1615セット、20年には556セットを一般消費者に販売したことなどが判明したとしている。

 また、森井食品は自社を表示責任者とした「葛きり」3製品についても同様に、平成18年1月18日から同年4月11日までの間、販売先から返品されたものを包装し直し、再包装した日を起点に新たに2年先の賞味期限を表示して再度出荷、販売していた。

 指示命令された内容は(1)森井食品株式会社を表示責任者として販売しているすべての商品について、直ちに表示の点検を行い、不適正な表示の商品を発見した場合には、速やかに適正な表示に是正した上で販売すること(2)森井食品株式会社が、商品に事実を誤認させる表示を行ったこと等、基準で定められた遵守事項が遵守されなかった主たる原因として、森井食品株式会社における食品表示に関する認識が著しく欠如していたこと及び品質表示内容の確認とその管理体制に不備があると考えざるを得ないことから、これを含めた原因の究明・分析を行うこと(3)森井食品株式会社における品質表示に関する責任の所在を明確にするとともに、社内における品質表示のチェック体制の強化、拡充等の再発防止対策を実施すること(4)森井食品株式会社の全役員及び従業員に対して、品質表示についての啓発を行い、その遵守を徹底すること(5)(1)から(4)に対し、講じた措置について7月7日までに農林水産大臣あて提出すること。