19日、財務省は5月の貿易統計による輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が、9939億円の赤字であることを発表した。前年の同月は9079億円の赤字であったため、今回発表された赤字額は、5月としては過去最大のものとなった。
貿易赤字は11ヶ月連続で、それは第二次オイルショックが起こった1979年の7月から、80年の8月まで続いた14ヶ月の次に長いものとなる。
輸出は軽油などの鉱物性燃料が66.8%増、ペットボトルの原材料である有機化合物も29.8%増で、トータルの輸出額は前年同月比10.1%増の5兆7676億円となり、3ヶ月連続で増加となった。輸入もスマートフォンなどの半導体等電子部品の輸入が増えたことにより、通信機が58.6%増となり、トータルの輸入額は前年同月比10.0%増の6兆7616億円と7ヶ月連続で増加した。
為替レート(税関長公示レート平均)は1ドル=99円27銭で、前年同月比23.4%の円安であった。
地域別の収支を見てみると、アメリカは4271億円の黒字。景気回復に伴いアメリカ国内の消費が増えたことにより、自動車などの輸出が伸びたことが要因。中東では、アラブ首長国連邦(UAE)から原油輸入額が増加したため1兆369億円の赤字。前年同月比で12.2%増えた。
中国では、スマーフォンや衣類の輸入が増加したため輸入額は大幅に増加、それに対して日本車の売れ行き不振が影響して輸出額は減少したため、貿易赤字は4099億円と34.5%増えた。
欧州連合(EU)の収支は887億円で、5ヶ月連続の赤字。イタリアの医薬品、ドイツのディーゼルエンジンなどの輸入が増加し、それに対して輸出額は4.9%減少した。EUに対する輸出額の減少は、これで20ヶ月連続となる。
今回の結果のように、輸出額の増加率が輸入額の増加率を上回ったのは、2010年の12月以来のこと(東日本大震災の影響を受けた2012年5月は除く)。財務省では、今後の貿易収支の見通しに関して、「円安傾向にあるものの、海外の景気による下振れリスクには留意が必要。燃料価格の動向に関しても確かなことは言えない」としている。(編集担当:滝川幸平)