米LNG輸出解禁

2013年05月26日 18:50

 米エネルギー省は、このほど新型天然ガス「シェールガス」の増産で、価格が下がっている、液化天然ガス(LNG)の対日輸出を解禁すると発表した。

 その第1弾となるのが中部電力と大阪ガスが参画するフリーポート社(テキサス州)のプロジェクト。原発停止で、火力発電用の燃料コストが膨らんでいる日本にとっては、貿易赤字の縮少や、電気料金の高騰を抑制する効果の期待高まる。

 このシェールガスとは、地下の岩盤内にある天然ガスの一種。米国などで豊富な埋蔵量が見込まれている。採掘が難しく、費用もかかるが、技術の向上により、大量生産ができるようになり、ガス価格の大幅な下落につながっている。今回米国が、シェールガスを含む安価な液化天然ガスの輸出拡大に踏み切ったのは、「シェール革命」によるエネルギー大国の立場を生かし、日本など同盟国との関係強化とアジア重視を印象づける狙いがあるものとみられる。

 円安による輸入価格急騰で、日本政府としては、いかに安価なガスを調達できるかが大きな焦点となろう。そうした思惑がある日本は、今米国産LNGと言う最善のカードが手に入った。これを武器に、今後ロシアや中東などとの長期LNG契約で、有利な条件を引き出したい考えだ。

 ただ気がかりとなるのは、今後米国が、第2、第3弾の輸入プロジェクトが、順調に認められるかどうか、まだ未知数だ。この辺については、米国の市場価格によって大きく変動することも考えられ、冷静にウォッチしていかなければならないと言えそうだ。(編集担当:犬藤直也)