銃砲規制の厳格化へ 警察庁

2008年04月08日 11:00

 警察庁「銃砲行政の総点検」プロジェクトチームは4月6日までに猟銃などを使った犯罪を防ぐための報告書をまとめるとともに、警察庁として、国家公安委員会に報告。今回の総点検の結果を踏まえて、警察庁では「銃刀法改正作業に着手し、銃砲規制の厳格化のための対策を具体化していく」としている。

 銃をめぐっては男が元妻にストーカー行為を行い、監禁のうえ、逃げ出した妻と警察官に散弾銃を発砲し、負傷させる事件や居酒屋でトラブルになった相手を翌日、散弾銃で殺害する事件など平成15年から19年までの5年間だけで殺人事件(殺人未遂を含む)が19件も発生している。また、平成10年から18年までの9年間に猟銃の盗難事件が78件発生し、118丁が盗まれている、など重大な事件につながる可能性の高い事犯だけに、行政の適切な取組みが求められている。

 今回まとめられた報告書は、銃砲所持の許可要件や審査のあり方について、(1)ストーカー行為や配偶者に対する暴力行為を行った(2)銃砲刀剣類等を使用しなくても一定の凶悪な罪に当たる違法な行為を行った、などを欠格事由とすること。また、所持許可取消処分を受けた場合の欠格期間を延長すること等が考えられるとした。また、経済的に破たんしていることを欠格事由にすることについて検討する必要があるとしている。加えて、自殺のおそれがある者に猟銃を持たせないことについても検討する必要があるとし、許可要件への該当性判断に係る指針等を示すことについて検討する必要性もあげている。

 審査では、現在、申請者により添付された診断書の約98%が精神障害等を専門としていない医師によるものであるため(1)可能な限り専門医による診断を促進していくこと(2)必要な場合には専門医の診断によってこれらの欠格事由に該当しないことを確認するようにすることなどの防止策を提言、医師の診断の厳格化を求めている。

 不適格者の発見と排除について、(1)都道府県公安委員会が調査を実効的に行うことができる法的根拠を整備する(2)必要な場合には、警察が猟銃所持者に対し、専門医の診断を受けることを命ずることができるようにする(3)高齢者に対しては更新時等の機会を捉えて認知機能に関する検査を行うなどの方法を提言。さらに、調査方法、手続等の斉一化を図るとともに、調査を行う間の危険を防止するため、必要があるときは一時的に猟銃等を預かることができるようにすることについても検討する必要があるとしている。また、国民から銃砲に関する情報提供、申出、相談等がなされた場合、適切な対応等について実効性を向上させるための法令の整備等を検討するよう求めた。

 猟銃の保管についても、保管の設備及び方法の基準を厳格にすることなどを求めているが、「犯罪防止の目的ですべての猟銃を一律に保管委託させることについては、平成19年末現在の猟銃等保管業者は約430業者、保管可能丁数は約3万丁に過ぎず(1)十分な保管場所が確保できない(2)保管業者に緊急の払出しへの対応等の負担を強いる(3)特定の場所に猟銃が集中することによる安全上の問題がある、などから、現時点では実現には困難を伴うと考えられる」と消極的な結論になっている。

 実包の保管、管理については「、不要な実包を貯蔵させないための更なる対策、実包の消費及び貯蔵について所定の様式に記録させること等により使用の実績を把握するための対策等を講ずることを検討する必要があるとした。このほか、猟銃所持者の遵法意識等の維持・向上のための対策強化を求めている。