高齢化や核家族化の進行、集合住宅に居住する高齢者の増加に伴い、死後、長期間放置されるような「孤立死」も発生しており、厚生労働省ではこうした「孤立死」を防ぐための方策を「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」(議長・高橋紘士立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)において検討してきた。その報告者が「孤立死予防型コミュニティづくりへの取組み」としてまとめられ、同省から公表された。
それによると、地域で低下したコミュニティ意識の掘り起こしと活性化が最重要と指摘している。
同推進会議ではコミュニティづくりへの提案として、(1)人とのかかわりが気楽にできる関係づくり、あいさつができる地域づくり、人があつまれる拠点づくり、適度な世話焼き(おせっかい)が可能な人間関係づくりを進めるとともに、コミュニティの構成員である住民が孤立死のデメリット、コミュニティ意識の重要性の認識を共有化する取組みが重要(2)孤立死が起こる前に発見するコミュニティづくり、起こっても適切に対応できるネットワークづくりを進め、孤立死発生のリスクをできるだけ防止することが重要(3)孤立死防止の取組みは高齢者虐待の早期発見や認知症高齢者等の支援、災害時における被害拡大の予防にも有効に機能するものと考えられる(4)孤立死防止のネットワークづくりは、都市型や町村型、戸建住宅型や集合住宅型など地域の実情に応じて工夫しながら構築する必要がある。そのツールとして「情報通信技術の活用(緊急通報・ライフライン検知システムの活用)」「近隣の互助機能の組織化」「地域住民・行政・諸機関の協働づくり、地域包括支援センターの活用」などをあげている。