中国と直接または間接的に取引のある企業のうち約8割の企業が中国製品の品質に何らかの懸念を抱いており、5割以上の企業がチェック体制を強化することにより対応していることが株式会社帝国データバンクの調査で明らかになった。また、4社に1社(23・5%)は他の新興国への切り替えを考えている。
これは、2007年の貿易額で中国が日本の最大の貿易相手国になっており、一方で、食品などの問題から中国に対する関心が強まっていることを受けて、2月20日から3月2日に、全国2万887社を対象に「中国製品・サービスに関する企業の意識調査」を行ったもの。1万66社から回答があった。
それによると1万66社のうち、60・9%に当たる6131社が中国と直接または間接的に取引を行い、そのうち、79・8%(3254社)が中国の品質に懸念を抱いていた。
企業の回答の中には「サンプルは良いが、量産に入ると全く別のものが来ることもあり、遠方にいての品質管理は難しい」(鉄鋼・非鉄・鉱業、神奈川県)との声がある一方で「価格に見合った技術・品質」(服飾品卸売、東京)という声もあった。
品質以外では、安全性への懸念が74・8%、商習慣の違い61%、中国政府の対応59%、知的財産権等の権利関係54・4%、技術51・9%(以上複数回答)が上位を占めていた。信頼できる点については価格をあげた企業が20・8%で最も高い数値だった。
中国製品やサービスの懸念に対しての対応策では、55・1%がチェック体制の強化をあげ、次いで国内製品を重視(切り替え)21・1%、内製化11・6%、他の新興国を重視(切り替え)11・1%が上位を占めた(複数回答)。また、今後の対応では他の新興国を重視(切り替え)が23・5%と最多になり、およそ4社に1社が中国以外の新興国への切り替えを視野に入れている。次いで、チェック体制の強化(22・9%)、国内製品を重視(切り替え)(21・9%)が上位に挙げられていた。
具体的には「価格面に魅力があるが、製造過程・製品・納期の面で信頼できないため、今後は他国製品に徐々に転換する可能性がある」(木材・竹材卸売、埼玉県)。「現地での品質管理強化と輸入時の自主検査強化を行っている」(飲食料・飼料製造、広島県)という声があった。一方で「中国製品というだけで過剰に反応・拒否するのではなく、自らの目で確かめ自己防衛する意識を高めることが重要」(電気機械製造、鳥取県)との声も。またコミュニケーションの強化や日本への信頼感を高めることが必要との声もあった。