地方公共団体などの監査機能が形式的であったり、OB職員が監査委員になっているために身内に甘いのではなど、監査委員のあり方や機能、権限、責任の明確化など、監査機能の充実が求められているおりから、内閣府地方制度調査会では監査機能の充実・強化のための方策を検討中で、具体的な方策に係る論点がこのほど、整理された。
まず、監査委員制度における監査委員の選任方法について、現行では「議会の同意を得たうえで、長が選任する」ことになっているが、これには「長が任命するのでは独立性が担保できないのではないか」との問題が提起されており、監査委員を議会において選挙する方法や公選により住民が選出する方法があがっている。
また、委員の構成については現行では「高潔で、地方公共団体の財務管理・事業の経営管理、その他、行政運営に関し優れた識見を有する者、議員のうちから選任。当該地方公共団体常勤職員であった者1人以内。議員のうちからの選任2人以内」となっているが、「監査の専門性を高めるべき」「OB委員では身内に甘いとの批判がある」「監査が形式的になりがちではないか」などの課題があるとして、「弁護士、公認会計士、税理士といった者を積極的に登用することを促進する」「選任方法を変更する場合、議会選出委員やOB委員をどう考えるか」が検討課題として指摘されている。
監査委員の権限や責任についても「監査結果の報告などの決定は合議になっているため、監査委員の意見が出されにくくなっているのではないか」「監査委員が十分な監査を行わなかった場合には何らかの責任を問う仕組みが考えられないか」などが指摘され、「どのような責任の取り方が考えられるか」検討していくことになっている。
事務局体制では「現在は都道府県の監査委員に事務局を置く、あるいは市町村の監査委員に条例の定めるところにより、事務局を置く」ことになっているが、「事務局の独立性、専門性の強化の必要」や「事務局職員のモチベーション高揚策が必要」などの指摘があり、「事務局職員に外部登用を促進する方策を考えられないか」「代表監査委員の事務局職員の任免権を実質的に行使する方策が考えられないか」などがあがっている。