刑法犯総犯罪の6割が3割の再犯者により行われていた 平成19年版犯罪白書

2008年03月06日 11:00

 約30%の再犯者によって、総犯罪件数の約60%の犯罪が行われていることが平成19年版犯罪白書(再犯者の実態と対策)で指摘された。法務省は白書の中で「刑事政策として再犯者対策が重要であることの根拠がここにある」と再犯者対策の重要性を訴えている。

  18年中の刑法犯の認知件数は287万7027件となり、前年比で7・9%減少していた。例年犯罪認知件数の6割を占めていた窃盗犯の減少が全体の件数引き下げにつながっている、としている。刑法犯検挙人数は124万1358人となり、前年比2・9%減少した。

  刑法犯のうち、殺人は1309件(前年比6・0%の減少)強盗は5108件(同14・7%の減少)詐欺は7万4632件(同12・8%減少)になっていた。
白書が特集している再犯者の実態では再犯罪名別犯歴の件数構成比の推移(最近30年間)を見ると自由刑(懲役,禁錮又は拘留)においては窃盗、覚せい剤取締法違反、傷害の比率が高く、財産刑(罰金又は科料)においては傷害、暴行の比率が高くなっていた。
 
また、20歳代前半で1犯目の犯罪を犯した者の41・0%が、その後再犯に及んでおり、他の年齢層に比べて1犯目の犯罪を犯した者が2犯目以降を犯す比率が高いことが分かった。この年齢層は再犯に至る者のうち約47%が2年以内の期間に再犯を犯しているという結果がでていた。

  白書は(1)若年者の再犯防止対策がより重要である(2)罪名・罪種の特質に応じた対策を講ずる必要(3)仮釈放等社会内処遇を充実強化することを特に重要として取り上げている。このほか、犯罪者の更生に対する国民や地域社会の理解を促進していくことも重要としている。