悪徳商法など根絶、制度創設や見直し

2008年02月18日 11:00

 政府は国民が安心して暮らせるよう「安全、安心」を第一に、消費者や生活者の視点に立った行政を行うため「食べる、働く、作る、守る、暮らす」の5施策を推進しており、「守る」では暮らしの安心を守るルールづくりに取り組む。
(1)悪徳商法の根絶に向けた制度の整備では、新手の悪徳商法に対処するため、訪問販売や通信販売等の規制対象を限定列挙方式から原則適用方式に転換し、認定を受けた消費者団体が差止請求できる消費者団体訴訟制度の導入や高齢者に対する過量販売契約の取消権の創設等(特定商取引法改正案)を通常国会に提出する。
 また、高齢者等をねらった悪質な訪問販売等と提携するクレジット取引を防止するため、過剰与信防止義務や個人割賦購入斡旋事業の参入を規制するほか、既払金返還ルールの新設など規制を強化する方向で通常国会に割賦販売法改正案を提出する。
 さらに、不当表示抑止のために、一定の不当表示への課徴金を新設するとともに、認定を受けた消費者団体が差止請求できる消費者団体訴訟制度を導入する。通常国会に公正取引委員会が景品表示法改正案を提出する。
そのほか、インターネット取引や高齢者等をめぐる消費者トラブルに対して、消費者契約法を見直し、不当な勧誘行為や不当な契約条項の範囲を拡大できるよう20年度に見直す。
また、悪質なサービスによるトラブルを防止するため、第三者機関が事業者の承認を行ううえでのガイドラインを20年度に策定するほか、悪徳商法に係る関係省庁の連携を図るため、消費者政策担当課長会議の下に、「悪徳商法関係省庁連絡会議」を19年度中に設置する。
(2)国民生活センターの消費者トラブル解消機能を強化・充実するでは、国民生活センターの情報収集・提供、苦情相談、商品テスト等の中核機関としての機能を強化するとともに、消費者が巻き込まれる紛争を裁判所に出向かなくてもて、国民生活センターで解決できるよう、センターに紛争処理の権限を持たせるための法案(国民生活センター法改正案)を通常国会に提出する。また20年度には地方の苦情処理委員会の活性化を図るよう地方公共団体に要請していく。
(3)医療事故死の原因究明体制の整備では、医療機関に対して診療関連死の届出を義務付ける。また中立的な立場で調査を行う「医療安全調査委員会(仮称)」の設置を早いうちの通常国会に提出する。
(4)インターネット上の違法・有害情報対策の強化では、出会い系サイト等迷惑メールの被害を防ぐため、あらかじめ同意や請求・承諾を行った者に広告メールを送ることが認められる方式を導入し、通常国会に提出する。
 また、インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会の結果を踏まえ、対応相談窓口の周知などプロバイダ等による違法・有害情報の自主的な削除を19年度から20年度にわたり促進していく。さらに、19年度中に保護者に対する青少年向けフィルタリングの導入促進への方策を取りまとめる。
 また、消費者の観点から、インターネット取引での適切な広告表示や企業ポイントなどの取扱いについてのルールを検討し、20年度中に電子商取引及び情報財取引等に関する準則の改訂を行う。
(5)事業者の社会的責任の取り組みを促進し、消費者の自立支援では、企業の自主的な取り組みを促す整備を目的に、事業団体、消費者団体、労働組合、投資家、その他のNPOの代表、専門家及び行政で構成する「社会的責任の取組促進に向けた円卓会議(仮称)」を20年度に開催する。また、19年度中に家庭科などの関連教科で消費者教育を充実させる、などを盛り込んでいる。