菅義偉官房長官は10日、韓国人4人が日本による朝鮮半島植民地時代に日本の製鉄所で労働を強いられたとして新日鉄住金(旧新日鉄)に賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審判決でソウル高裁が賠償を命じる判決を下したことを受け「現在、判決内容を分析中と聞いている」としたうえで「日韓間の財産請求権の問題については最終的に解決済みというのがわが国の従来の立場」とし「その立場に相容れない判決なら、わが国としては容認できないと考えている」と語った。
また菅官房長官は「新日鉄住金と連携を取りながら、わが国政府の一貫した立場に基づき適切に対応していきたい」述べた。
原告らはすでに80歳から90歳の高齢になっている。彼らは1941年から43年にかけて新日鉄の前身の日本製鉄担当者の説明で日本に渡ったが、そこで労働を強いられ、賃金もきちんと払われなかったとし慰謝料を求めて訴訟を起こした。いずれも原告敗訴となったが、昨年5月、日本の最高裁にあたる韓国大法院は原告敗訴の判決を取り消し、ソウル高裁に審理差し戻しを行っていた。また「1965年6月締結の日韓請求権協定で個人の請求権も消滅したとは見なし難い」としていた。
これを受けてのソウル高裁判決で新日鉄住金に対し、原告1人あたり日本円で約880万円と遅延損害金を支払うよう命じている。戦後補償問題で韓国の裁判所が日本企業に賠償を命じる判決を下したことから、類似の裁判への影響は大きそうだ。(編集担当:森高龍二)