2012年は、日本初の格安航空会社(LCC)である、ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンが相次いで就航したことで、空の旅がクローズアップされた年だった。とくに、派手なピンクのイメージカラーが印象的なピーチは好調で、就航一年で150万人の利用者を達成している。当初、一部では日本の客層にLCCは受け入れられないのではないかと心配する声もあったものの、今のところは、乗客の評価も概ね好評といえそうだ。
ただ、今年のゴールデンウィークの利用実績をみると、ピーチは利用率が国内線で91.3%、国際線で84.1%と好調な結果を残しているものの、ジェットスター・ジャパンは国内線のみの運航で78.8%、エアアジアは国内線が67.6%、国際線が61.2%と厳しい状況となった。
また、大量欠航などのトラブルが相次いだことなども、LCCの今後の課題だ。
一方、LCCは空港の活性化に一役買っている面もある。成田国際空港株式会社が5月14日付で発表した2013年3月期決算によると、LCCの就航が業績を押し上げたかたちとなり、純利益が前期比4.3倍の153億円に伸び、04年の民営化以降、最高額となった。
LCC元年である昨年は、各社共通して、福岡や那覇などといった採算の見込めそうな国内の主要都市への就航が中心となっていたが、2年目の今年は機体も増え、地方空港への路線展開も活発に行われはじめていることからも、これから益々、LCCが地方都市、地方空港を活性化させるための重要なファクターとなっていくことが期待されている。
そんな中、6月11日にピーチが新路線の就航を発表するといわれており、いよいよ関東圏へ進出するのではないかと話題になっている。
ピーチの国内路線は、2013年6月1日の時点で新千歳、仙台、福岡、長崎、鹿児島、那覇の6路線が就航しており、6月14日からは関空-新石垣線を、9月13日には那覇-新石垣線を新たに就航するが、意外なことに、ピーチには東京を含む関東圏への路線が一つもないのだ。
発表当日は、東京の増上寺・安国殿で空の安全祈願を行ったあと、新しい就航地が公表される予定となっており、わざわざ東京で祈願することからも、以前から関西国際空港がアクセス強化を模索している羽田空港、すでにLCCが就航していることで受け入れの下地ができている成田空港などが有力とされているが、実際の発表では、茨城など他の空港が告げられる可能性も充分残されている。
いずれにせよ、ピーチが関東圏に進出すれば、東京―大阪間のビジネス用途での利用も増えることが予想される。もちろん、すでに成田と大阪を結んでいるジェットスターやエアアジアにとっては大きな脅威となり、競争はさらに激化することになるだろう。(編集担当:藤原伊織)