2013年6月、平成25年度版の「土地白書」が閣議決定された。それによると、住宅の所有について「土地・建物については、両方とも所有したい」と回答した人の割合が79.8パーセントと最も多い割合を占めたものの、12年ぶりに8割を切った。また、住宅について「一戸建て」を希望する割合は71.3パーセントとなっており、1995年に90パーセントを超えたのをピークに、徐々に低下している。
同白書では、これらの要因の一つとして、人口の減少と少子高齢化による土地利用の変化を挙げている。現在、60歳以上の高齢者が宅地資産の約60パーセントを保有しており、このまま少子高齢化が進むと、その子ども世代の30~40代がその不動産を相続したり、譲り受けたりする可能性が高くなる。つまり、いずれ親の資産を取得できるのだから、子育て期間に無理をして住宅を購入しなくてもいいという考え方もあるようだ。
一方で、そんな背景や、マンションなどの割合が増えつつある中にあっても、いまだに80パーセント近くの人が、「土地付き一戸建て」のマイホームを望んでいるともいえる。
「土地付き一戸建て」の購入にあたっては、すでに土地を所有しているのか、土地探しから始めるのかで、取得までの道のりが大きく変わってくる。所有していたり、目ぼしい土地を見つけていたり、または土地つきの建売住宅などで納得できるのであれば問題はない。しかし、そうでない場合、運よく自分の住みたい場所に土地が見つかれば良いが、思うような土地が見つからずに何年も探し続けた挙句、マンションを購入したり、賃貸で我慢したりするケースも珍しくない。
実際問題として、土地探しから始めるというのは大変な作業だ。住宅を購入しようという意思があるにもかかわらず、「現在、土地を所有していない」ということでハードルが上がってしまうようでは、日本の住宅事情は本当の意味で好転しないのではないか。
しかし、そんな「土地を所有していない」顧客に対しても成約率を挙げている企業も多い。そんな中堅ハウスメーカーの一つアキュラホームに話を聞いてみた。
まず、同社の成約率は、「土地を所有している」顧客と「土地を所有していない」顧客、半々だそうだ。全国の土地に詳しい不動産会社約3000社と提携することで、顧客のニーズに合った土地を探しだせるという。さらに、土地のあるなしで条件、スケジュールは異なるが、どんな条件であっても、予算はある程度決まっているので、その枠内で土地・家の両方を考え、総合的によりよくなるものを提案しているという。
時代は変わっても、日本人にとってはやはり、土地付き一戸建ては夢のマイホームであることに変わりはない。来年2014年から消費税が8パーセントに、そして15年には10パーセントに増税が予定されてはいるが、一生に一度の買い物だから、簡単に妥協したり、諦めたくはないものだ。(編集担当:藤原伊織)