少子高齢化が加速し、2050年には日本の総人口が3000万人減少するといわれている。そのような中で、今後増えていくであろう空き地や空き家について、問題視されるようになっている。
空き地が増えることにより、一時的には子どもたちの遊び場所が増えたり、近隣住宅の日当たりが良くなったりで、メリットも考えられる。しかし、空き地や空き家が増え続ければ防犯面や災害時への不安が大きくなり、また、住民の減少から小売店の撤退なども十分考えられ、高齢などのために転居できずその土地に住み続ける人にとって過酷な状況を強いることになる。また、マンションの空室が増えれば、住民の負担が増えることになるが、最悪、修繕費用が確保できないことから建物に手を加えられず、住民はマンションを売ることも修繕することもできない状況になるであろう。
国土交通省が発表した「土地白書」平成25年度版よると、平成24年における土地取引件数は120.4万件(前年比6.0パーセント増)で、9年振りに増加。新設住宅着工戸数は882,797 戸(前年比5.8パーセント増)で、3年連続の増加。マンションの新規発売戸数については、首都圏が45,602戸(前年比2.5パーセント増)、近畿圏が23,266戸(前年比15.1パーセント増)である。これらの数値だけを見ると、土地建物、マンションともにおしなべて良好であり、今後起こりうる、地域のゴーストタウン化やマンションのスラム化とは結びつきがたいが、同白書では相続による不動産の移転とその活用として次のようなことを挙げている。
国土交通省で行ったアンケート調査の結果から住宅・土地の相続経験や相続可能性をみると、全体の約6割が、住宅を今後相続したり、譲り受けたりする可能性があると回答している。よって、30代~40代の子育て世代等が自分たちの住まい用として不動産を取得しても、その後、別の不動産を相続などによって得る可能性がある。また、住宅・土地を相続したことがある人が、その住宅・土地をどのように利用しているかについて、住宅においては、2割近くが、居住や利用を行っていないと回答、住宅の敷地以外の土地のうち、主なものについて未利用であるとの回答は約3割となっている。今後相続する可能性がある住宅・土地についても、住宅においては、居住や利用を行っていないとの回答が約2割、住宅の敷地以外の土地については、利用する予定はないとの回答が3割強となっている。これらのことから、空き地・空き家の問題は20年後、30年後には顕著になるであろうから、対策が急務になっている。(編集担当:中村小麦)