「脱兎号」の精神はダットサン「GO」として引き継がれた

2013年07月21日 18:04

 ダットサンという名称は、元々、今からほぼ一世紀前に製造されたダット自動車の「脱兎号」から来ている。その後、日産の創立者である鮎川義介が、「すべての人に自動車を」というビジョンを持ってこの事業を引き継いだ。そして、1930年代初頭の日本の若者たちの向上心を満たす、軽量で経済的で耐久性のあるクルマを「ダットの息子」という思いを込めて「脱兎の息子」、すなわち、Datsonと名付けた。しかしsonは「損」を連想するからであろう、のちにDatsunと改められた。そんな歴史を持つのがダットサンというブランドだ。
 
 日産<7201>は、21世紀最初のダットサンブランドのモデル「GO」を初公開した。この新型車は、インドで2014年初頭の発売が予定されている。ダットサンは、ニッサン、インフィニティに続く日産自動車の第3のブランドであり、同社の中期経営計画「日産パワー88」において重要な役割を担うという。日産・社長カルロス・ゴーン氏は、発表会場で「本日は、日産自動車にとって、そして高成長を続ける市場のお客様とパートナーの皆さんにとって歴史的な日です。ここインドのお客さまにとっては、クルマを購入するという夢の実現に一歩近づくエキサイティングな瞬間となりました」と高らかに述べている。「GO」は5ドア前輪駆動のハッチバック、1.2リッターのエンジンに5速マニュアルトランスミッションを組み合わせている。「GO」は、40万ルピー(約66万円)以下という価格を設定するとしている。ダットサンブランドは、各市場向けに開発される予定で、「GO」は、14年後半にインドネシア、ロシア、南アフリカで発売予定のダットサンのラインナップの第1号のモデルになる。「GO」のデザインは、日本のグローバルデザインセンターが担当しているが、開発は、現地のマーケットに合わせて行ったという。「GO」は、ルノー・日産アライアンスの最も新しい工場のひとつであるインド・チェンナイ近郊のオラガダムにある工場で生産される予定。

 「脱兎号」の「脱兎の息子」のダットサンが20世紀を風靡して、世紀を越えて、「脱兎の息子よ、行け!」ということで21世紀最初のダットサンが「GO」になったのか、はたまた「脱兎号」の「号」の音を引き継いだのは、わからない。しかし、ともあれこういった背景を知った上で、「GO」という車名に接してみると、なんだか長い長い物語は受け継がれていくものだという気がして、感慨深いものがあるのも、また事実である。「GO」。シンプルでストレートでタフで、歴史を感じさせるよいネーミングだ。(編集担当:久保田雄城)