電気自動車の充電方式のグローバルスタンダードを日本が握るために「国際標準化を目指す協議会」が2010年の春に発足した。日本の自動車メーカー8社と東京電力などの電力会社、自動車部品メーカーなど158の会社および団体が参加した。
その日本が進める充電方式「CHAdeMO(チャデモ)」規格に対して、2011年秋にBMWやフォードなど欧米の7社の自動車メーカーが、日本とは異なる「コンボ」規格を採用すると発表した。当時、「日本の充電規格のガラパゴス化」などと報道され、EV向け充電器の国際規格の主導権争いで欧米と日本が競い合っている。
7月29日、日本のトヨタ、日産、ホンダ、三菱の自動車メーカー4社が、電気自動車(プラグインハイブリッド車などを含む)の充電器の設置活動を共同で推進し、充電ネットワークサービスの構築を目指すと発表した。
現在、日本国内に設置されているEV向け充電器は、急速充電器1700基、普通充電器3000基ほどで、まだまだ不十分。この充電設備の不足が「EV普及の足枷」になっているとの指摘もある。
現在、市場に導入されている電気自動車は、フル充電で航続距離150〜200km程度。そのため、自宅やマンションなどで行う普通充電のほかに、スーパーやデパート、ショッピングセンター、高速道路のサービスエリアや道の駅などの駐車場に急速充電器を設置することが急務なのだ。
4社が今後共同で推進する活動は、4社が建設費を相応に負担して、滞在時間が短いコンビニや小規模スーパー、高速道路のパーキングエリアなどに急速充電器を4000基、比較的滞在時間の長いファミリーレストラン、道の駅、高速道路のサービスエリア、大型ショッピングセンターやデパートなどに普通充電器を8000基設置する計画だ。
また、各社が出資している充電サービス会社3社が連携し、一枚のサービスカードでどこでも充電できるようなインフラを構築するという。
欧米各社が推進する「コンボ」規格の充電設備はまだ出来ていない。リリースでは一切触れていないが、この間に日本の充電インフラ整備を進めて、充電規格「CHAdeMO(チャデモ)」の優位性を高めておきたい。これが今回発表された日本メーカー4社の協同事業の狙いだろう。(編集担当:吉田恒)