女子高生のことを略して「JK」と呼ぶのは今や珍しくないが、では「JC」や「JS」は何のことかお分かりだろうか?正解はJC=女子中学生、JS=女子小学生のこと。ここ数年、彼女たちのおしゃれに対する熱意はとどまるところを知らない。
彼女たちの「おしゃれ熱」を象徴するイベントが、8月8日に東京・有明で開催される。学研ホールディングスのグループ会社主催の「ピチレモン夏の大学園祭SP『ガールズサマーフェス』」だ。
同イベントにはローティーン向けファッション誌『ピチレモン』の読者であるJS(女子小学生)、JC(女子中学生)が1000人以上集まる。『ピチレモン』のモデル(通称「ピチモ」)が登場し、流行ファッションのほか、ステーショナリーなど女子小中学生に人気のトレンドアイテムのブースなどが展開される。その様子はさながら「東京ガールズコレクション」の少女版といったところだ。
『ピチレモン』(学研パブリッシング)は1986年に創刊され、ローティーン向けファッション誌の先駆けとなってきた。90年代後半には、主に女子中学生向けの『ニコラ』(新潮社)が創刊。両雑誌はナルミヤ系の子ども服ブランドブームを牽引し、市場を創り出してきた。
ここ数年はローティーンのおしゃれ市場が、中学生から小学生へと裾野を広げつつある。2006年には『ニコラ』の姉妹誌で女子小学生向けの『ニコ☆プチ』が創刊され、2011年には三栄書房が「おしゃれな小学生」をメインターゲットとしたファッション雑誌『JSガール』を創刊した。
こうしたローティーン向けファッションが盛り上がる背景には、少子化で子ども1人にかける手間が増えたことに加え、ユニクロやしまむらなど「ファストファッション」の台頭やネット通販の普及によって、小学生でも手軽におしゃれが楽しめるようになったことがある。
ローティーンのバイブルである『ピチレモン』や『ニコ☆プチ』などの紙面づくりは、ブランド物に頼り過ぎないのが特徴。「しまむら」や「Avail」「GU」などのファストファッションを上手く取り入れた、いわゆる“安カワ”特集が人気なのだ。
また多くの雑誌は読者モデルを起用しており、彼女たちが読者の身近なロールモデルとなっている。「読モ」と呼ばれる彼女たちの多くは普通の小学生でありながら「オフィシャルブログ」を開設している。中には更新を待つファンが2000人以上という「スーパー読モ」も。そんな彼女たちの生活は、毎日のように更新されるブログを見る限りイベントに撮影にロケにと、芸能人も顔負けである。
最近の女子小学生が憧れるのは、そんな読モが着こなす等身大のファッション。そこには90年代に流行した、百貨店の「高級子ども服ブランド」への憧れはない。“安くてカワイイ・すぐマネできる”がキーワードなのである。おしゃれに熱心なJS、JCたちによって拡大を続けるローティーン向けファッション市場。このままいけば近い将来、「JY(女子幼稚園生)」や「JH(女子保育園生)」がファッションリーダーとして活躍する日が来るかもしれない。