動き出した木材利用ポイント 各メーカーの動向は?

2013年08月04日 20:19

 これまで、政府では家電エコポイントや住宅エコポイントなど、ポイント制度を活用した事業政策を展開してきたが、今度は林野庁が木材利用ポイント事業を導入した。

 木材利用ポイント事業とは、地域材の適切な利用を確保することにより、森林の適正な整備・保全、地球温暖化防止及び循環型社会の形成に貢献し、国産材その他の木材の利用促進を図るとともに、農山漁村地域の振興に資することを目的として林野庁が考案し導入されたポイント付与制度だ。対象地域材を活用した木造住宅の新築、増築等、内装・外装の木質化工事、木材製品及び木質ペレットストーブ・薪ストーブの購入の際に、付与された木材利用ポイントは、地域の農林水産品や商品券、農山漁村体験型旅行等と交換できる。

 林野庁では、2012年補正予算で木材利用ポイントを予算要求し、事業費として400億円が認められたことで、13年4月1日以降に着手した木造住宅や木質化工事から導入されている。

 折しも、予想される消費増税を前に住宅着工戸数が増え始めている中、対象木造住宅1棟あたり30万ポイントが付与される上、内装・外装の木質化の上限30万ポイントを合わせれば最大60万ポイント、60万円相当のポイントが付与されるとあって、住宅メーカーにとっても需要を喚起する好材料となっており、すでにこの木材利用ポイントを積極的に活用できる商品を展開している。

 例えば、大和ハウス工業<1925>では、ポイント制度導入直前の3月に新発売した木造住宅「ジーヴォ グランウッド」は、同社では初めて、柱やハリなどの構造軸組材を100%地域材仕様にした商品だ。また、積水ハウス<1928>も4月から、これまで北欧材を標準仕様に展開してきた人気の木造住宅「シャーウッド」のラインナップに、柱とはりをまるごと地域材仕様にした「シャーウッド 純国産材プレミアムモデル」を加えて発売した。

 中でも、その動向に大きな注目が集まっているのが住友林業<1911>だ。同社は、木造注文住宅を得意としているだけでなく、日本国土の900分の1にも相当する広大な山林を所有している。同社ではその強みを生かし、国産材比率70%以上を利用した主力構法マルチバランス構法(MB構法)を中心に7000戸の木造住宅でポイント利用者を見込んでおり、いち早く制度の実施が決まった3月末から、チラシの配布や展示場でのPRにも力を注いでいる。

 もちろん、大手メーカーだけでなく、中堅住宅メーカーや工務店なども負けてはいない。

 中でも、全国の工務店277社、会員数338社を誇るジャーブネットは、日本最大のホームビルダー集団として、これまでからも伝統的な木造軸組工法に先進テクノロジーを融合した住宅を提供している。

 ポイント制度導入にあたっては、住宅の仕様そのものだけでなく、制度を利用するために必要な業者登録を支援することにも力を入れており、現在、工務店会員の8割がすでに登録済みだ。また、これまでメール等による定期的な情報提供も行ってきており、今後もセミナー等を開催して、適切なサービスと提案、ポイント制度の恩恵を消費者に提供できるよう、会員をサポートしていく予定をしている。

 7月1日より、木材利用ポイント発行・交換の申請受付が開始され、住宅の購入等を検討している一般消費者への認知も急速に高まりつつある。さらには、太陽光発電の政府補助金や、フラット35Sも、来年3月で終了してしまう上に、予定通り14年4月から消費税の増税が施行されるとすれば、この秋冬の駆け込み需要は増える事が予想される。そのときに、このポイント制度が大きな検討材料になるのは間違いない。今現在、どのメーカーや団体が、どんな対応をみせているのかが、家をみるにも、今後の経済をみるにも大きなポイントになりそうだ。(編集担当:藤原伊織)