地域活性化の切り札となり得る、バイオマス発電への取り組み

2013年03月14日 09:28

 昨年の再生可能エネルギーの固定価格買取制度開始を受け、急激に加速したメガソーラー発電所の建設。その陰で地熱発電や風力発電も徐々にではあるが増えつつある。一方で、未だ大規模な施設の建設が進まず拡大しないのがバイオマス発電事である。

 こうした中、平成16年に建設廃棄物の処理過程で大量に発生する廃木材をチップ化し、バイオマス発電の原料として供給する事業に取り組んでいたタケエイ<2151>が、青森県津軽地方での森林間伐材など原料とするバイオマス発電事業に参入すると発表した。発電量は一般家庭約14000世帯の年間消費電力量に相当する6250kWで、平成27年度の稼働を予定しており、開業2年目には年間13億円程度の売上を見込んでいるという。

 青森県津軽地方では、津軽地方の森林から発生する大量の間伐材や、日本一の生産量を誇る県内でのりんごの栽培過程において大量発生する剪定枝を有効活用し、かつ地域の活性化につながるような新規事業について、「津軽新エネルギー事業研究会」を立ち上げて検討を続けていた。こうした背景から、青森県平川市並びに周辺自治体さらには青森県などの地元自治体と、原料供給を一手に担う地元農林業団体などのバックアップの下、「株式会社津軽バイオマスエナジー」を設立して木質バイオマス発電事業参入に至ったという。なお、地域の活性化及び雇用創出に関わる助成金等の申請も検討するとのこと。

 この同社による発表の前日には、東大などが、光合成を行う藻類の分子光スイッチの作動機構を世界で初めて解明したと発表。この光スイッチは、藍藻類(シアノバクテリア)の光合成の生産効率を決定するため、光合成による高効率バイオマス生産に向けた応用が期待できるという。他の業界にも当てはまることであるが、日本は研究・技術のレベルは世界トップクラスにあるにも関わらず、その実用化はなかなか実現しない。バイオマス発電は、タケエイの取り組みの要因のひとつにもみられる通り、地域活性化にも繋がる有用な事業である。優れた技術が一日も早く実用化され、全国に普及することを期待したい。(編集担当:井畑学)