自民党の石破茂幹事長は靖国神社への天皇陛下の親拝がA級戦犯合祀以来、なくなったとし、「この状況をいかに打開するか。政治家として真剣に思いを致さねばならない」と自身のブログで問題提起した。
昭和天皇はA級戦犯の靖国神社への合祀以来、親拝されていない。宮内庁長官だった富田朝彦氏の「昭和天皇の発言メモ」には昭和天皇が「わたしは、ある時に、A級が合祀され・・・あれ以来、参拝していない。それがわたしの心だ」と記されていた。東京裁判で戦争指導者として責任訴追され、有罪となった東条英機、木村兵太郎らA級戦犯を合祀することをよしとされない立場だった。不快感を持っておられたという意見もある。現在の天皇もその意を尊重されておられる。天皇の親拝は昭和50年11月が最後になった。
石破幹事長の主張は「靖国神社を建立した際の政府の国民に対する約束はいかなる人であっても戦争で散華した人は靖国神社に祀られる。天皇陛下が必ずご親拝下さるという2点であったはず。第1の約束は概ね果たされてはいても、第2については所謂A級戦犯が合祀されて以来、果たされていない状況が続いている」と、天皇陛下が靖国に親拝できるように打開策を探るべきだと提起している。
韓国や中国が総理や閣僚の靖国参拝を批判するのは特にA級戦犯を合祀する神社への参拝であることもある。
ただ、石破幹事長はA級戦犯について「国体の護持をひたすら願っていた所謂A級戦犯の思いと、先帝陛下、今上陛下の大御心を我々は心静かに考える必要があるように思われてなりません。国体が護持されたからこそ今日の日本があるのであって、その歴史を看過してこの問題を論じてはならないのだと思っております」と独自の持論を展開。
靖国神社は一宗教法人ではあるが、常に外交問題に関わる案件になっているだけに、A級戦犯の扱いをどうするのか、また政教分離の視点から英霊の無宗教施設での慰霊も含め、国会で議論していくことが必要な時期にきているのではないか。(編集担当:森高龍二)