NYダウは5ドル安。手がかり難で小幅の値動きで、夏枯れの時期とは本来そういうもの。アップルが新型iPhoneを9月10日に発表するという情報が流れてNASDAQは上昇した。13日朝方の為替レートはドル円が97円台前半、ユーロ円が129円台前半で、前日よりやや円安になっていた。
日経平均は176.93円高の13696.36円と反発し9日のSQ値13640円を超えて始まる。前場は13700円台に乗せて安定的に推移。取引時間前に発表された4~6月の機械受注が+6.8%で5四半期ぶり増加というニュースよりも、「安倍首相が消費増税と一体で法人税率の引き下げを指示」という日経新聞1面の記事のほうが効く。浜田宏一内閣官房参与は消費増税の1年先送り進言をほのめかしたが、官邸サイドは増減税一体処理で進める意向か。上海市場が小安く始まって13700円を割り込む場面もあったが、このところ頻発していた為替とセットの先物の仕掛け売りで急落するパターンにはならず前場は13700円台をキープして折り返す。後場の午後2時をすぎると為替とセットの先物の仕掛け買いで急騰するほうのパターンで13800円を突破し、終値は347.57円高の13867.00円で高値引け。これで8月は日経平均の「ないとこ引け」が5日間になった。TOPIXは+22.53の1157.15。売買高は18億株、売買代金は1兆6391億円で、どちらも8月5日に次ぐ低水準だった。
東証1部全体の84.6%の1482銘柄がプラスの全面高で全セクター上昇。上位はパルプ・紙、情報・通信、海運、鉄鋼、ガラス・土石、輸送用機器など。下位は保険、空運、精密機器、ゴム、卸売、電気・ガスなどだった。
日経平均採用225種でマイナスは9銘柄しかなく、マイナス寄与度は51円安のオリンパス<7733>が-2円でトップで、他は-1円未満。プラス寄与度のほうは「御三家」が合計で101円も引き上げていた。
メガバンク、証券大手は揃って上昇。アイフル<8515>が74円高で売買代金5位、値上がり率12位と買われた。自動車関連は明るい日で、トヨタ<7203>が140円高で続伸し、富士重工<7270>は129円高、日野<7205>は74円高、ホンダ<7267>は70円高。サンデン<6444>が24円高で値上がり率17位になるなど部品メーカーも連れ高した。鉄鋼株は7円高の神戸製鋼<5406>が売買高2位に入るなど商いを伴って上昇し、新日鐵住金<5401>は9円高、JFEHD<5411>は64円高。東京製鐵<5423>は26円高で年初来高値を更新していた。
新日本理化<4406>は12日発表の4~6月期決算の最終黒字化が連日材料視され日証金が後場の貸借取引申込停止措置をとるほどの異常人気。連日の年初来高値更新で48円高。値上がり率2位、売買高5位、売買代金9位とランキング入りした。新型iPhone来月発表という情報でiPhoneキャリアのソフトバンク<9984>は後場一段高になり380円高で売買代金トップ。KDDI<9433>も110円高になった。アップル関連銘柄としておなじみのフォスター電機<6794>は84円高、太陽誘電<6976>は三菱UFJモルガンスタンレー証券が投資判断を引き上げたこともあり76円高。ゲーム関連は連日盛り上がり、ガンホー<3765>は1800円高、KLab<3656>は65円高で値上がり率14位、スクエニHD<9684>は48円高で年初来高値を更新。モブキャスト<3664>はヨーロッパとブラジルでサッカーゲームを配信すると報じられ300円高ストップ高比例配分になったが、目の肥えた本場のファンを満足させられなければレッドカード退場も覚悟だ。
日本電産<6594>はシティグループ証券が投資判断を引き上げて160円高。カルビー<2229>も大和証券が投資判断を引き上げて710円の大幅高で値上がり率13位に入った。金や銅など鉱物資源関連株の世界的な上昇を受けて三菱マテリアル<5711>は21円高で年初来高値を更新し、住友金属鉱山<5713>は22円高で、どちらも続伸。しかしチタンは電力料金値上げによるコストアップの影響で2013年度は4割減産という報道があり、大阪チタニウム<5726>は89円安で値下がり率8位、東邦チタニウム<5727>は19円安と売られた。猛暑効果で飲料販売が大きく伸びたセブン&アイHD<3382>は75円高で、エアコン販売が3割増になったケーズHD<8282>は190円高と、前日に高知県四万十市で日本最高記録を更新したこの猛暑も経済に貢献してくれている。
決算がらみでは、ウイルス対策の「クレベリン」が好調で、4~6月期の経常利益が前年同期比2.6倍、純利益が3.2倍の大幸薬品<4574>は132円高で値上がり率7位。高砂香料工業<4914>は通期の経常利益見通しを31億円から50億円に上方修正し41円高と買われて値上がり率11位。明治HD<2269>は4~6月期の経常利益が61%増で145円高。午後2時に営業利益50.6%増の決算を発表した東映<9605>は急騰し39円高。一方、レーザーテック<6920>は発表された6月期決算が減収・大幅減益と悪く、131円安で値下がり率2位になった。
この日の主役は新興市場のバイオ関連銘柄。軟調が続いていた新興市場に活気が戻って東証マザーズ指数もジャスダック指数もプラスで終えた。J・TEC<7774>は富士フイルムHD<4901>と組んで中国、タイで再生医療に参入すると報じられ一時ストップ高で14.55%上昇。タカラバイオ<4974>は研究開発のために129億円規模の公募増資を発表し希薄化懸念で47円安。アンジェスMG<4563>は遺伝子治療薬「アロベクチン」がアメリカでの臨床試験で効果が認められず23.89%下落のストップ安比例配分になった。良かろうと悪かろうと、ニュースがあるのは活気がある証拠だ。(編集担当:寺尾淳)