【日経平均】後場2時台に滝のように急落し終値13605円

2013年08月08日 20:14

 NYダウは48ドル安で3日続落。クリーブランド連銀のピアナルト総裁が「雇用情勢の改善は予想以上」「雇用改善が進めば量的緩和策を縮小する用意がある」と言えば、夏枯れで手がかり材料難の市場は「9月になれば」派に加勢したとみなす。ウォルト・ディズニーの決算が横ばい、タイム・ワーナーの決算が良くても地合いが悪ければ押し流されるのは東京市場と同じ。8日朝方の為替レートは、ドル円は96円台前半、ユーロ円は128円台半ばと円高が大きく進行し、ソニー<6758>、武田薬品<4502>の想定為替レート100円を大きく割り込み、ホンダ<7267>、スズキ<7269>、京セラ<6971>の96円に並んでしまった。

 外資系証券の注文状況も売り越しで日経平均は45.47円安の13779.47円で始まるが、ドル円が96円台後半に戻したため、TOPIXを置き去りにスルスルと上昇してプラス圏に浮上し、13900円を突破し30分で14000円にあと14円まで迫る。もみあった後、午前10時10分すぎに一時14000円の大台に乗せた。しかし「閣僚懇談会で安倍首相が消費増税の影響の検証を指示」という海外の投資家が嫌がるニュースが飛び込んで売られ、前場は13926円で引けた。11時発表の7月の東京都区部のオフィス空室率は前月比で0.17ポイント改善。正午に日銀の金融政策決定会合の結果が出て、金融政策は現状維持を全員一致で決定し、7ヵ月連続で上方修正していた景気判断は「ゆるやかに回復しつつある」のまま据え置いた。中国の7月の貿易統計は、輸出が前年同月比5.1%増、輸入が10.9%増でともに市場予測を大きく上回り、貿易黒字は178億ドルで市場予測に届かなかったものの、上海、香港市場はこれを材料に上昇した。

 後場は高く始まり一時14000円を突破するが長続きしない。1時30分頃から下落が始まり、2時20分を過ぎると加速して13800円、13700円、13600円を次々と割り込む滝のような急落ぶりで、2時39分に13556円まで下げた。先物主導だが為替には動きが乏しい。マイナス材料として2時に発表された7月の景気ウォッチャー調査があり、現状判断DIが6月を0.7ポイント下回る52.3で、4ヵ月連続で低下し市場予測の53.5を下回ったが、400円を超える大幅安を誘うほどの大物指標とは思えない。謎は謎のまま取引が終了し、日経平均終値は219.38円安の13605.56円と続落し、日中値幅は475円に達した。TOPIXは-15.67の1139.59。売買高は23億株、売買代金は2兆1481億円だった。

 値上がり銘柄は300に対し値下がり銘柄は1341で約4.5倍。それでも非鉄金属は値上がりし、石油・石炭は全くイーブン。下落幅が小さいセクターは空運、海運、不動産、卸売などで、大きいセクターはゴム、建設、情報・通信、保険、パルプ・紙、鉱業などだった。

 日経平均プラス寄与度トップは2日連続でダイキン<6367>で、終値65円高だが寄与度は+2円。マイナス寄与度には「御三家」のファーストリテイリング<9983>が800円安で寄与度-32円、ソフトバンク<9984>が170円安で-20円と君臨していた。

 メガバンク3行は全て下落。証券は野村HD<8604>は16円安だったが、SBIHD<8473>は1時30分に発表した4~6月期決算が税引き前利益8.9倍と良く15円高で終えた。それに先立つ1時に決算を発表した清水建設<1803>は4~6月期の経常利益が41.9%増の60.5億円で、それだけで中間期の当初見通し35億円を上回るため後場マイナス圏から急浮上し15円高だった。前引け後発表の日揮<1963>は4~6月期の経常利益は50.3%増で受注好調でも4%減の営業利益が市場予測を下回り、クレディスイス証券が投資判断を引き下げて280円安で値下がり率10位。2時30分に発表した住友不動産<8830>は、純利益が4~6月期が95%増で通期見通しも13%増と良かったので、マイナス圏から戻って15円高になった。

 決算発表後の銘柄はみんな主役。マツモトキヨシHD<3088>は4~6月期の営業利益が28.8%増で、220円高で年初来高値を更新し値上がり率6位に入った。住友ゴム<5110>は1~6月中間期の営業利益が7.9%減で113円安。住友金属鉱山<5713>は経常利益が4~6月期も通期見通しも市場予測を上回りJPモルガン証券が投資判断を引き上げて44円高と買われた。農業機械の販売がアジア各国で順調なクボタ<6326>は4~6月期の営業利益は50%増、純利益は92%増で、通期見通しは据え置きだったが4日ぶりに反発し23円高だった。THK<6481>は4~6月期の営業利益が15%減に加え7月の国内と中国の受注減も嫌気されて145円安で値下がり率18位。島津製作所<7701>は医療機器の販売が拡大し4~6月期の純利益は26億円の黒字に転換。通期見通しも上方修正して59円高で値上がり率5位だった。三井不動産<8801>は4~6月期の営業利益が8%増で45円高。セコム<9735>は4~6月期の純利益が190億円で過去最高になり30円高。後場に地合いが悪くなったが、前日のようなひねくれた動きはほとんど見当たらず、好決算が評価されるべき銘柄はしっかり上昇していた。(編集担当:寺尾淳)