【日経平均】先物に227円幅で振り回された結末は9円高

2013年08月09日 20:16

 NYダウは27ドル高で4日ぶり反発。中国の貿易統計、新規失業保険申請件数が市場予測を上回ったので高く始まった。ダラス連銀のフィッシャー総裁が「量的緩和縮小は9月から始めるべき」とはっきり発言したためいったんマイナス圏に沈むが限定的で、その後は買い直されてプラス圏で安定的に推移した。フィッシャー発言を受けてドル円は一時95円台をつけたが、9日朝方の為替レートはドル円が96円台後半、ユーロ円が129円台半ばと前日よりもやや円安になっていた。

 日経平均オプション取引、日経平均ミニ先物8月物が対象の「マイナーSQ」の日(特別清算指数算出日)の日経平均は67.93円高の13673.49円で始まった。SQ値は午前9時10分すぎに13640.03円と出た。午前9時台は円高一服と2日続落後の押し目買いで13750円をオーバーする時間もあったが10時前からまたもや200円を超える急落を喫し、SQ値を割り込んで「まぼろしのSQ」を消す。マイナス圏の13550円割れからプラスに戻り一時は13700円にタッチするが、後場は上海市場の下落を受けて一段安で前日終値近辺での値動き。午後2時前には再び13550円を割るが、その後は徐々にプラスまで戻して9.63円高ながらもSQ値よりも下の13615.19円で、2勝3敗、前週末から850円も下落して今週の取引を終えた。TOPIXは+1.32の1140.91。売買高は22億株、売買代金は2兆309億円で、SQの日なのに前日よりも商いが少なかった。

 日経平均もTOPIXもプラスだが、値上がり銘柄数743は値下がり銘柄数862よりも少なく、値上がり業種19は値下がり業種14よりも多かった。プラス上位は非鉄金属、機械、海運、鉄鋼、ガラス・土石、情報・通信など。マイナス下位は精密機器、鉱業、小売、倉庫、石油・石炭、その他金融などだった。

 日経平均のプラス寄与度の1、2位はKDDI<9433>とソフトバンク<9984>で、寄与度合計+19円でマイナス寄与度1位のファーストリテイリング<9983>の-18円とほぼ拮抗していた。プラス寄与度4位のトレンドマイクロ<4704>は好決算に加え、国内の少なくとも16000台のパソコンがコンピュータウイルスに感染してインターネットバンキングの不正送金事件で使われた疑いが強いという報道でセキュリティソフトの需要増が見込まれ70円高になった。

 日揮<1963>は4~6月期の純利益が過去最高を更新して160円高。DeNA<2432>が久々に売買代金6位と買いを集め200円高で値上がり率7位に入っていた。三菱マテリアル<5711>は4~6月期の純利益3.3倍を好感されて数字も同じ33円高になり値上がり率9位。ジェネリック医薬品の沢井製薬<4555>は4~6月期決算の純利益が40%増と好調で1110円高。年初来高値を更新し値上がり率10位だった。

 IHI<7013>は韓国の現代自動車と自動車のターボチャージャーの生産で合弁すると報じられ、日本の造船業の受注が回復という記事も出たので一時10円高まで買われたが終値は2円高。電子部品の太陽誘電<6976>は4~6月期の決算で最終黒字31億円を計上したが、クレディスイス証券が4~9月中間期の営業利益が見通しを下回る可能性があると指摘して106円安と売られた。同業のローム<6963>は4~6月期は業績が急回復して純利益67億円を計上し、プラスの時間帯もあったが10円安だった。

 ヤマダ電機<9831>は中国での店舗撤退で特別損失を計上して4~6月期の最終損益が58億円の赤字で、東証は朝から「特別売り気配」に指定して警戒。-15.73%、615円の大幅安で値下がり率1位になった。同業のケーズHD<8282>の決算も4~6月期は55.4%の営業減益だったため375円安で値下がり率7位になっていた。家電量販店は「テレビの販売復調」が伝えられるが、業績に反映されるのはもう少し先になるのだろうか。

 この日の主役はニコン<7731>。288円の大幅安で年初来安値を更新して値下がり率2位に入り、日経平均を11円も押し下げマイナス寄与度2位。売買高14位、売買代金4位とまさに売り浴びせられた。スマートフォンに押されたデジタルカメラの不振が深刻で、通期業績見通しの売上高を700億円、営業利益を200億円、純利益を500億円、それぞれ下方修正。さらに通期配当見込みの41円を32円に9円も引き下げては、前期比ではプラスでも投資家は売りたくなる。伊藤純一副社長は日経新聞のインタビューに「海外の好転が遅れ、事業環境の変化が厳しい」と話している。この日は精密機器業界の同輩のキヤノン<7751>が70円安、オリンパス<7733>が4~6月期の経常利益が黒字化しても62円安で仲良くお付き合いしたが、ニコンよりその2社のほうがまだ先々明るい見通しがある。完全に出遅れた名門企業に復活の日は来るのだろうか。(編集担当:寺尾淳)