日銀・石田委員、「増税後には賃金引上げ必要」

2013年09月14日 19:37

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日本銀行の石田浩二審議委員は、来年の春ごろに予定されている消費税の増税の影響に関して、「上下のリスクが顕在化した際には、必要に応じて政策対応する」との考えを示した

 11日、青森市内で会見を行った日本銀行の石田浩二審議委員は、来年の春ごろに予定されている消費税の増税の影響に関して、「上下のリスクが顕在化した際には、必要に応じて政策対応する」との考えを示した。ただし、増税前の駆け込み需要とその反動に対しては、「冷静な対応が必要」と述べ、もし今回の増税が見送られた場合には、「財政の信認を確保するための手段が必要になる」との考え方も示した。

 石田審議委員は、消費税の増税によって景気に悪影響が出た場合の政策対応として、「現時点で具体的にコミットするわけにはいかない」としつつも、「上下にリスクが生じた場合、必要に応じて政策を見直していくことに関しては、賛成」と、経済情勢、物価情勢に応じた調整を行う可能性があるとの見解を示した。

 消費税を増税するとなると、駆け込み需要とその反動が予想されるが、景気への影響は「それらを足して二で割れば、大きな変化はない」と述べ、反動面のみを大きく取り上げる傾向について、「マインドが悪くなる恐れもある」と、たしなめるような態度を示した。

 10月1日にも、安倍晋三首相により消費税増税の是非が判断されるが、もし今回見送られた際には、「財政の信認を確保するための何らかの手段」が必要との見解を示し、また、予定通り増税が行われたとしても、潜在成長率を上回る成長が期待出来るとの見通しを語った。さらに増税が行われることで、「将来の財政への安心感が高まり、それにより消費が発生することもある」という考えも述べた。

 石田委員はその日の午前に行われた講演で、「消費を拡大させるには、所定内賃金の増加が必要」という自身の考えを述べ、賃金ベースアップの重要性を指摘。消費税の増税は物価上昇要因となるものの、来年の賃上げだけで消費増税分を含む物価上昇をフォローするのは無理とし、「多少の時間をかけて、徐々にいかざるを得ない」と語った。

 ただ、「物価上昇によりベア(ベースアップ)が復活することで、給料が上がるというシグナル効果が非常に重要。デフレ・マインドを変えるきっかけになるのでは」との期待感も示した。一方、日本銀行が掲げる2%の物価安定目標の実現については、「道のりが長い」ともコメントした。(編集担当:滝川幸平)