消費増税判断材料の一つとなっていた、4~6月期の経済成長率は、実質3.8%(年率)と上方修正された。
雇用や消費、生産の経済指標も軒並み上向きになり、来春の消費増税するための経済環境が整ったと判断された模様だ。確かに最近の経済指標の多くは、経済の上向きを示しているといえよう。
9日発表の国内総生産(GDP)の設備投資が、建設や小売業を中心に、改善したことで、実質成長率は、2.6%から大きく押し上げられた。失業率が4%台から3%に下がるなど、主な経済指標は、1年前よりも上向いているといえる。しかし消費税を8%に上げると、企業や家計は年8兆円規模の負担増になる。年金など社会保障の負担増もある。製造業の設備投資はまだ低調で、物価上昇も電気代など光熱費の値上がり分が大きい。
「消費税が上がるなら賃金に反映してほしいと」自民党税制調査会の、野田会長が9日の講演会で述べているが、賃金が上がらないと増税が家計を直撃してしまうため、賃上げした企業の法人税を減免する、本年度からの制度を来春の消費税に合わせて、さらに、拡充し、企業の賃上げを後押しするという。消費税に住宅ローン減税を手厚くしたり、現金を配ったりする対策は、すでに決定済み。所得が少ない人に、一定の現金を配る方針も固まった。
秋の臨時国会では、企業の設備投資を促す、減税を決めようとしている。「デフレからの脱却」を政権の優先課題に挙げる安倍首相が、さらなる経済対策を追加で支持する可能性もある。また景気対策を盛り込んだ、補正予算を組む可能性も高い。与党内には、法人税率自体の引き下げを求める声も、いまだにある。ただ増税対策を手厚くすればするほど、追加の予算や、減税が増え、財政再建が遠のくジレンマもあるのは確かであろう。
いずれにしても4月の消費税増税の実施は、間違いないものとみられるがどうか。(編集担当:犬藤直也)