16日の総選挙は大方の予想通り自民党が大勝し政権に復帰。連立を組む公明党と合わせて325議席を確保した。連立与党が衆議院の議席の3分の2以上を占めたので、政府提出法案が参議院で否決されても憲法第59条第2項の規定で衆議院で再議決されれば法案は成立する。建設国債の発行も「国土強靱化」の補正予算案も日銀法の改正案も、そうやって参議院で少数与党の「ねじれ」をパスして通せる。来週発足する第二次安倍内閣の政権運営の安定度が増した。
前週末のNYダウは35ドル安で終えたが、朝方の為替レートは一気にドル円84円台、ユーロ円110円台に乗せる円安で、株高の条件は揃った。17日の東京市場は日経平均先物がはしゃいで9930円まで上げ、現物も158.12円高の9895.68円で始まり一時9900円台にタッチしたものの、その後はドル円が一時83円台に戻った動きもあり、売買が活発にもかかわらず9870~9900円の狭いレンジでもみあう。大引けの20分ほど前から先物主導で下落し終値は91.32円高の9828.88円で、8ヵ月半ぶりに9800円台に乗せたものの3ケタ上昇は維持できなかった。売買高は28億5200万株、売買代金は1兆5343億円と大きかったが、前場にやや偏っていた。
円安を好感した電機や自動車や鉄鋼など輸出関連株も、公共投資関連の建設、不動産も、追加金融緩和期待の銀行、証券も幅広く買われた1日だった。シャープは今日も買われて32円高で300円台乗せ。売買高は2億3560万株でトップになり、秋の暴落が遠い昔の出来事のよう。コカ・コーラ販売会社4社の統合のニュースでコカコーラ・セントラルは21円高、三国コカ・コーラはストップ高比例配分の100円高と買いを集めた。ファーストリテイリングは株価を再び2万円台に乗せて年初来高値を更新。日経新聞がアメリカのドール買収で純利益80億円押し上げと報じた伊藤忠商事は2円高。14日にスターフライヤーの筆頭株主になったと発表した全日空は1円安だが、スターフライヤーは210円高と買われた。
売られた業種は繊維、パルプ・紙、食品など。日本製紙Gは30円安。今年度の営業利益4割減と報じられた旭硝子は15円安で、ともに大型株が揃って上昇する中でカヤの外。新生銀行は4円安。太陽誘電は値下がり率3位、リョービは4位と大きく下げた。
今日、サプライズだったのが東京電力。前場途中に急に上昇し始め大引けまで買い気配で推移し50円高の202円でストップ高比例配分。値上がり率2位で、売買高も1億4608万株で2位。自民党大勝で連想されるのは「柏崎刈羽原発の再稼働」による燃料費低下、業績改善だが、それなら最初から高いはず。朝一番で利益を確定した個人投資家の買い物色か。関西電力も一時ストップ高で値上がり率6位、売買代金3位。電力・ガスは業種別騰落率トップだった。原発メーカーの東芝は10円高で売買高5位、日立は4円高、三菱重工は1円安。原子炉圧力容器を製造する日本製鋼所は30円高で、原発関連機器メーカーの木村化工機は一時ストップ高の61円高で値上がり率4位に入った。11日の「敦賀原発・活断層ショック」は、総選挙の自民党の大勝、脱原発政党の惨敗で癒された、ということか。(編集担当:寺尾淳)