安倍総理がIOC総会で約束した東京電力福島第一原発事故の汚染水問題の解決。国が前面に出ての国際公約になっている。470億円の税金投入になる。この汚染水処理費用などをめぐり27日、衆議院経済産業委員会で東電の廣瀬直己社長を参考人に質疑が行われた。
汚染水対策への国費投入に、東電へ資金融資している金融機関の応分の負担や株主の応分の負担は当然との声が国民の間から出ている。この日の参考人質疑でも、日本共産党の塩川鉄也衆議院議員が追求した。
塩川議員は「東電は事故処理対応にこれまでに1兆円を引き当てており、さらに今後10年間で1兆円を新たに積み増すということだが、その資金を汚染水対策費にあてるべきでないのか。当面、国が税金で汚染水対策をやるが、あとで国に返すということは考えないのか。現在のスキームは東電が責任をとり、東電が負担をするというのが筋になっている。そもそも、汚染水対策の責任は東電にある」と追求した。
廣瀬社長は「もちろん責任は東電にある。主体的に現場でやっていかなければならないのは当然だが、一方で、お金がかかるのも事実。今日は汚染水の問題だけだが、いろんなところでお金が出ているのも事実であり、それらを全て東電で負担するというのは大変難しい」と答弁。
廣瀬社長は「汚染水については国の予備費あるいは国の予算でやっていただければ大変ありがたい」と資金捻出については、この件について考えのないことを表明。「汚染水の対策は国民の税金でということになるが、とにかく、汚染水の問題は喫緊の課題であるので、国も一歩も二歩も前に出て、東電にはなかなか任せておけないという判断なので、東電としては有り難く受けたいと思っている」と費用は国費で賄ってもらうこと。後に国に戻す考えもないことも事実上表明した。
塩川議員は「まったく責任のない国民の税金で汚染水対策を行うというのはまったく筋が通らない。その前にやることがある。東電は破たん処理し、東電の経営責任を問い、株主責任を問い、メガバンクなど貸し手責任を問う。これこそ、行うべきことだ。国民の声をどう受け止めているのか」と追求。「利害関係者にきちんと負担を求めるのは当然だ」と多くの国民の声を代弁した。
廣瀬社長は「支援機構法という法律の下で現状の形がつくられ、その下で責任を果たしている」と法の下に逃げ込んだ格好。一般サラリーマンの平均年収が400万円弱といわれる中で、事実上破綻している東電の従業員について平均年収に近づけるほど真剣に経費削減なども切り込め、コストダウンができるのか、国費投入が行われる以上、その程度の覚悟が示されなければ国民の理解は得られない。事故責任への企業としての自覚が問われている。(編集担当:森高龍二)