日産のハードとソフトを使い分ける対ミャンマー戦略

2013年09月29日 21:07

 日産自動車とマレーシア企業のタンチョングループは、ミャンマーでの日産車の生産および販売に対する認可についての共同発表を行った。この発表は、両社によるミャンマー投資委員会への申請が、認可されたことによるもの。

 この認可を受けて、タンチョングループはミャンマー・バゴー管区の工業地帯に生産工場を建設するための3ヶ年プロジェクトに着手する。日産はミャンマーにおいて、2011年に市場が再開放されて以降初めてのグローバル自動車メーカーとなる。

 本格稼働時には年間1万台の生産能力を有することになるこの新工場では、15年に日産「サニー」の生産を開始し、稼働開始時には300名の従業員を雇用する予定だ。日産の社長・カルロス ゴーン氏は、「今回の認可は、我々のグローバルな成長計画において重要なマイルストーンであり、『すべての人々に自動車を』という私たちの取り組みを明確に表したものです。私たちは、ミャンマーがこの地域における重要な経済の推進役となることを確信しており、この国の自動車産業の発展に寄与することを約束します。」と述べている。

 今回建設される32万4,000平方メートルの設備は、ミャンマー最大の、またバゴー管区では初めての自動車工場となる。この工場は、タンチョンモーター(ミャンマー)により建設・運営される予定。

 タンチョングループは、主に自動車の生産・販売、アフターサービス、またローン、リース、保険などの関連金融サービスの提供に携わっている。同グループは、マレーシア、シンガポール、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーで日産車の独占販売店となっている。

 また日産と、同社のグローバルパートナーであるハビタット(国際NGOハビタット・フォー・ヒューマニティ・インターナショナル)は、ミャンマーにおける共同事業として、国際NGOワールド・コンサーン・ミャンマーが実施するプロジェクトへの支援を決めた。同社はこのプロジェクトの実施費用として、今年度、20万ドル(約2千万円)を寄付する。さらに、今後このプロジェクトへの支援を継続的に取り組むことで、ミャンマーの人々の生活環境向上と自然災害によるリスク軽減への貢献が着実に効果を上げ、より大きな成果となるよう、17年度までに総額100万ドル(約1億円)の支援を行うとしている。

 ミャンマーでの現地生産というハードと、同国NGOへの資金支援というソフト。この絶妙な戦略もやはりゴーン流と言っていいだろう。(編集担当:久保田雄城)