震災の折には品薄になったと言われる中古自動車市場であるが、2011年の販売台数は前年比96%と2年連続で400万台を下回るなど、縮小が止まらない。こうした状況が一変、2012年は前年比106.4%と増加へ転じた。しかしこれは、エコカー補助金による買い替えが進んだことにより、比較的良質な中古車が市場に流れたために起きた一時的な現象とも見られている。2004年と比較すると、2012年の中古車販売台数は120万台以上減少しており、生き残り競争の厳しさに変わりはない。
こうした中トヨタ<7203>は、トヨタの中古車商品ブランドである「T―Value(ティー・バリュー)」にハイブリッド機構10年保証等の新たな価値を追加した「T―Valueハイブリッド」を今年4月から設定すると発表。今後、中古車市場においてもハイブリッド車へのニーズが増えることを踏まえ、ハイブリッド車ならではの保証をあらたに付加したもので、トヨタブランドのハイブリッド車を対象に、初度登録年月から10年間ハイブリッド機構を保証する。近年、自動車の買い替え寿命が伸長している中で、初年度登録から10年という期間は果たしてどこまで訴求効果があるのか、今後の動向に注目が集まるところであろう。
また、GEキャピタルと三菱オートリースは、リース期間の終了した中古車両(リースアップ車両)の入札方式による販売に関する戦略的業務提携を締結。今年4月1日から、GEキャピタルの運営する入札会に三菱オートリースが参加し、同社のリースアップ車両を、同入札会に出品・販売するという。両社が同一の入札会に出品して販売することにより、より多くの車種・車両が集まり、購入希望者に対してより多様な購入機会を提供することが可能となり、コスト低減を含む運営効率の向上も実現するという。中古車の購入動機は、一番にその価格であろう。自動車リース業界最大規模のリースアップ車両専門入札会の誕生によるコスト低減効果が価格にどれだけ反映されるのか、期待の高まるところである。
国内の中古車市場における動きが活発化する中、海外へ輸出される中古車を巡る環境も大きく動いている。2012年の輸出先ランキングでは、これまで上位10カ国に名前の上がらなかったミャンマーがロシアに次ぐ2番目の輸出先へと急成長。一方でベトナムでは、10席未満の中古自動車に対する輸入関税率が20%引き上げられると報じられるなど、経済成長に伴う東南アジア市場の変化を如実に表す結果となっている。どれだけ国内での取り組みを強化しようと、中長期的には市場の縮小は避けられない。こうした海外における動向を上手く先読みし、その波に乗ることができるか。今がその大きな分岐点なのではないだろうか。(編集担当:井畑学)