安倍総理は1日、来年4月1日から消費税を3%引き上げ「8%」とする決断を行った。「消費税収は社会保障にしか使わない」と断言した。あわせて5兆円規模の経済政策パッケージを発表した。
安倍総理は閣議後の記者会見で「毎年膨らむ社会保障費をどう賄うかが大きな課題になっている。同時にデフレから脱却し、再び成長軌道を取り戻さなければ真に安定した社会保障制度は取り戻せない。希望と活力、成長への自信を取り戻す。国の信認を維持し、社会保障制度を次世代にしっかり引き渡す。これらを同時に進めていくこと。これが安倍内閣に与えられた責任だ」と前置きし、「法律で定められた通り、現行の5%から8%に、3%引き上げる決断を致しました」と一語一語区切るように語った。
安倍総理は「社会保障を安定させ、厳しい財政を安定させるために財源の確保は待ったなしの状況だ」と理解を求めた。
一方で「直近のデータでは民間の給与はわずかに上昇傾向に転じたが、景気回復の実感は未だ全国津々浦々に至っていない。この中で増税すれば消費は落ち込み、日本経済はデフレと景気低迷の深い谷へと逆戻りしてしまうのではないか。最後の最後まで考え抜いた」と熟慮の上での決断だと強調した。
安倍総理は「大胆な経済対策を果断に実行し、景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることにより、経済再生と財政健全化は両立しうる」と述べた。
そのうえで、消費税引き上げに際して経済政策パッケージをとりまとめたとし、その内容については「目先の経済を押し上げるだけの一過性の対策ではなく、社会保障の充実や安定などのために、お願いする負担を緩和しながら、将来にわたって投資を促進し、賃金を上昇させ、雇用を拡大する『未来への投資』だ」と説明した。
安倍総理は「企業収益の増加が賃金の上昇、雇用拡大につながり、消費を押し上げることを通じて、さらなる企業収益につながっていく。経済の好循環をつくるための投資を進める」とし「研究開発を促し、設備投資を後押しして、未来の成長と雇用につなげる。事業再編を促し企業体質を変え、新たなベンチャー企業を応援し、持続的な活力を生み出す」などと強調した。
また、法人税について「実効税率が高い水準にある」とし「わが国の持続的な成長に向けて、国際競争に打ち勝ち、世界から日本に投資を呼び込むために、法人税について真剣に検討を進めねばならない」と法人税の引き下げへの姿勢を強調した。
安倍総理は「企業が収益を従業員に還元する企業には税制で支援する」とし「政労使の連携も深めながら、成長の成果を若者や女性を含めて、雇用拡大、賃金上昇につなげていく」ともアピールした。
さらに安倍総理は与党内からも反対が相次ぐ復興特別法人税の1年前倒し廃止については「足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提に検討する」とした。
このほか、「所得の低い人には1人1万円の給付を行う。住宅については住宅ローン減税の大幅拡充や給付措置の拡充を行い、消費税引き上げの負担軽減を行う」などをあげた。(編集担当:森高龍二)