日本百貨店協会が発表した9月の百貨店売上高は4443億円で、前年同月比2.8%のプラスとなった。売上が前年実績を上回ったのは2ヶ月連続。先月は大型の台風が2度も上陸するなど、悪天候が続いて入店客数が伸び悩んだ店舗が多かったが、それを上回るほど顧客の購買意欲は旺盛だった。
9月はファッション関連が全体的に好調だったようだ。この時期、主力の秋物衣料は3.2%のプラス、靴や鞄など服飾雑貨は5.2%のプラスとなった。特にジャケットやスーツなどの紳士服がよく売れた。高級時計などを含む「美術・宝飾・貴金属」も、昨年9月と比べて伸び幅は小さかったものの6.3%のプラスとなっており、相変わらず好調だった。また、地方物産展を積極的に展開した百貨店が多かったことなどから、食料品が1.9%のプラスと堅調に推移した。
地域別でみると、9月は久しぶりに大阪が東京の伸び率を上回った。東京地区が対前年比3.6%のプラスだったのに対し、大阪地区は8.3%のプラスとなっている。
大阪の中心部は、商圏人口に対して多くの百貨店がひしめく「オーバーストア」状態となっている。2011年5月、JR大阪駅ビルに「JR大阪三越伊勢丹」が開業したのをきっかけに、2012年11月には「阪急百貨店うめだ本店」が全面開業、今年6月には近鉄百貨店の「あべのハルカス近鉄本店」が部分開業するなど、増床・改装が相次いだ。各店舗には相乗効果もあるかもしれないが、競争が激化していることには変わりがない。
そのほか、9月の百貨店売上高を牽引したのは訪日外国人だ。今年7月に政府が東南アジア諸国から日本を訪れる観光客のビザを免除・緩和した影響で、東南アジア方面からの顧客が大幅に伸びた。台湾や香港、韓国なども引き続き好調で、中国人観光客についても昨年の「尖閣問題」による急減の反動増から、売上・客数ともに大幅増となった。
これから秋冬商戦本番を迎える百貨店各社だが、まずは良好なスタートを切ることができたようだ。(編集担当:北条かや)