日本百貨店協会によると、8月の百貨店売上高は4291億円となり、既存店ベースで前年同月比2.7%のプラスとなった。売上高が前年実績を上回るのは2ヶ月ぶり。6~8月を通じた平均値(セール期間の変動や休日の増減等を調整後)も2.2%増で、夏季商戦は全体的に好調だった。
8月は全国的に記録的な猛暑となり、主力の夏物衣料が1.9%増、UVコスメ(化粧品)が3.5%増と好調だった。また、涼感寝具や日傘、サングラスなど、夏ならではの商品もよく売れた。宝飾品・高級時計などは18.3%増、ブランド小物も4.5%増と引き続き好調で、前月の不振から一転してプラスとなった。
売上高を牽引したのは、増床・改装効果のあった東京、名古屋、大阪の3大都市。東京地区の売上高は全体の分の1を占める1041億円で、前年同月比5.6%と大きく伸びている。東京地区では、一部を除くほとんどの店舗で入店客数が前年実績をクリアした。夏休みのファミリー企画など催事を例年より積極的に展開したこともあり、入店客数が2ケタ増を記録した店も複数あった。衣料品は夏物を中心に7.9%増で、全国水準(1.9%増)を大きく上回っている。半袖ワイシャツやカットソー、ワンピースなどのほか、月の後半からは秋物衣料も売れた。
東京の百貨店で特筆すべきは、高級時計などが高い水準でプラスとなっていることだ。8月から複数の店舗でワールド・ウォッチ・フェアを開催した影響もあり、「美術・宝飾・貴金属品」の合計売上高は前年同月比25.2%と大幅なプラスとなった。
円安やビザの緩和などを背景に、訪日外国人客による売上高も大幅に増加した。日本政府観光局によると、8月の訪日外国人数は前年同月比17%増の90万7000人。8月としては過去最高を記録した。東南アジアからの観光客が大幅に伸びたことに加え、台湾や香港、韓国なども好調だった。
9月も後半に3連休が続くことなどから、百貨店協会では引き続き、売上高が前年実績を上回ると予想している。(編集担当:北条かや)