日本百貨店協会が発表した7月の百貨店売上高は5597億円あまりと、前年同月比2.5%のマイナスとなった。アベノミクス効果でここ数ヶ月は好調が続いていた百貨店業界だが、6月に夏物のセールや中元商戦を前倒ししたことなどが響き、3ヶ月ぶりのマイナスとなった。
7月の前半は猛暑日が多く、また東北や西日本各地の集中豪雨など、天候が不順だったことで客足が伸び悩んだ。また多くの店で夏のセールを6月末に前倒ししたこと、休日が前年と比べて1日少なかったことなどから、主力の夏物衣料がマイナス7.3%となるなど苦戦した。子供服はマイナス12.4%だ。さらに6月を中心に早期受注を集めた中元商戦が7月に入ってやや減速し、食料品も3か月ぶりにマイナスとなった。
一方、高額品は引き続き好調だった。ブランド小物など「身のまわり品」は9か月ぶりのマイナスだったものの、宝飾品・高級時計・美術品などは14.2%と大幅にプラス。猛暑の影響もあったのか、UVコスメを中心とした化粧品も1.7%のプラスとなり、涼感寝具・日傘・サングラスなどの盛夏アイテムも好調だった。
また7月は、円安やビザ緩和などを背景に訪日外国人が増えたことで、訪日外国人による消費が大きく伸びた(売上は94.5%のプラス、客数は70.2%のプラス)。
だがこれらの要因も全体を押し上げるまでには至らず、7月単体の売上高としては前年実績を割り込んだ。とはいえ夏のセール期間である6月、7月を合わせた売上高は累計で2%のプラスとなり、夏季商戦としてはひとまず堅調だったといえそうだ。
ところで先月は好調だった地方百貨店に目を向けてみると、7月は増床・改装効果のあった「激戦地区」である大阪を除く全地区で、前年よりマイナスとなってしまった。6月には広島以外の全地域で前年の売上をクリアし、地方百貨店にも薄日が差したかと思われたが、やはり根本的には地方百貨店の厳しさは変わらないようだ。