NYダウは7.77ドル高。34丁目ならぬウォール街の奇蹟のような縁起の良い数字だが、イラン核協議の合意、原油安、日欧の株高を好感して高寄りし一時は45ドル高でも終盤マイナスまで下落し、かろうじてプラスの数字。それでも3日連続史上最高値更新。34丁目のメイシーズは感謝祭スポンサーで、その翌日から始まるクリスマス商戦期待で1.02ドル高と買われた。26日朝方の為替レートはドル円101円台半ば、ユーロ円137円台前半で前日夕方より少し円高に振れていた。
日経平均は117.18円安の15501.95円と反落スタート。午前9時台には15500円を割り込み15460円まで下げる。その後はマイナス圏の15480~15520円の40円幅の値動きが延々と続き前引けは15511円。後場は変動レンジが15520~15560円に上がってもみあったが、ドル円相場が101円50銭を割って午後2時前からいったん下落した直後、50円を超える上昇。下げ幅を圧縮して15600円台に乗せるがそのままフィニッシュとはいかず、大引け間際に売り物が出て結局103.89円安の15515.24円。値がさ株、主力株に利益確定売りが入って上昇一服、4日ぶり反落だが終値は15500円を割らずトレンドは底堅い。TOPIXは-6.59の1253.02。売買高は24億株、売買代金は2兆2788億円だった。
値上がり銘柄670、値下がり銘柄976。業種別のプラスは石油・石炭、ゴム製品、倉庫、銀行、化学、水産・農林の6業種。27業種のマイナス業種の下位は鉄鋼、その他製品、空運、海運、食料品、電気・ガスなどだった。
日経平均採用225種はプラス56銘柄、マイナス161銘柄。プラス寄与度1位は富士フイルムHD<4901>で+4円、2位は大和証券がレーティングと目標株価を引き上げ81円高で4日続伸した自動車部品のジェイテクト<6473>で+3円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>で-12円、2位はKDDI<9433>で-10円と足を引っ張った。ソフトバンク<9984>は小反落し売買代金1位でも40円安。マイナス寄与度は-4円で5位に後退し、値動きなしでどちらにも寄与しなかったファーストリテイリング<9983>とともにこの日はバックに引いていた。
メガバンク3行はみずほ<8411>1円高、三菱UFJ<8306>3円高だが三井住友FG<8316>は10円安。野村HD<8604>5円安、大和証券G<8601>15円安と証券は軟調だった。自動車も軟調で、ホンダ<7267>85円安、富士重工<7270>23円安。5月23日の年初来高値をなかなか更新できないトヨタ<7203>の80円安は最近の地合いを象徴している。
このところ売買が活発なシャープ<6753>は大引けで急伸し14円高で売買高1位、売買代金4位。複写機のOEM供給検討と報じられたHPの決算発表前に思惑買いか。日立ハイテク<8036>は半導体関連の営業利益が今期56%増の200億円という業績観測記事が出て30円高だったが、日立<6501>は4円安。世界最大級のリチウムイオン電池実用化、東北電力<9506>から出力40MWの蓄電池システム受注というニュースが入った東芝<6502>は2円高。OKI<6703>は後場上昇し10円高。TDK<6762>は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げ、5月の年初来高値を更新し20円高だった。
NTT<9432>は10円高で売買代金5位。野村證券が目標株価を引き上げたIHI<7013>は6円高。石油資源開発<1662>はシティグループ証券がレーティングを引き上げて40円高。大塚HD<4578>はザラ場中は上昇続きで77円高までいった。サッポロHD<2501>も後場プラスに浮上して3円高で年初来高値を更新。パソナ<2168>は値上がり率トップになり、35円安のサンリオ<8136>株287万株を売却するセガサミーHD<6460>は終値16円安だった。
中央リニア新幹線に税優遇措置を講じ184億円の負担減になると報じられたJR東海<9022>は60円安だったが、このニュースがプラスに作用したのがリニア関連に挙げられる熊谷組<1861>で、15円高で5日ぶりに反発し値上がり率17位、売買高11位。「幕間つなぎ」で低位建設株の鉄建<1815>も17円高で値上がり率16位。ゼネコンの「利益なき繁忙」で補修工事の受注環境が好転しているショーボンドHD<1414>は野村證券の目標株価引き上げもあり100円高。プラント大手の千代田化工<6366>は野村證券が目標株価を引き上げ34円高だった。
主力株がふるわない日は小型株、低位株、テーマ株の出番。この日は利用者が世界で3億人を突破したLINEの関連銘柄が人気を集め、ネオス<3627>は191円高で値上がり率2位に入り、アドウェイズ<2489>は348円高。LINE関連ではないがソフト開発のクレスコ<4674>が40万株の自社株買いを好感され96円高で値上がり率4位になっていた。ドワンゴ<3715>人気はなおも続き、この日は59円高で売買代金3位だった。
大引けでMSCIが日本株のリバランスを実施し、日本ペイント<4612>とカカクコム<2371>がIN。古河電工<5801>とコスモ石油<5007>がOUT。日本ペイントは11円安で売買代金12位、カカクコムは14円安で売買代金10位、古河電工は6円高で売買高3位、コスモ石油は4円高で売買高6位という、まったくあべこべな結果になった。カカクコムは女性用下着の通販サイト進出というニュースがあったが、ファッションはネットでは試着ができないのがネックだろう。
「公募増資、エクイティファイナンスは希薄化懸念で下落する」という教科書通り、公募増資を発表したレオパレス21<8848>は64円安で値下がり率1位、転換社債(CB)発行を発表した高島屋<8233>は36円安で値下がり率14位になっていた。
この日の主役は富士フイルムHD。アメリカのがん専門病院「テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター」と提携して、2014年から3種類の抗がん剤の臨床開発を共同で実施と発表し、115円高の大幅高で年初来高値を更新した。メリルリンチ証券が投資判断を引き上げたことも買いを誘い売買代金14位。医療は関連会社の富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬「T-705」という〃切り札〃を持っている。アメリカでは国防総省が有用性を評価して開発を支援し、「フェーズII」の治験でもインフルエンザ罹病期間を減少させる作用が確認されたが、国内の製造販売承認は申請後2年半が経過してもまだおりていない。寒くなる長期予報が出ているこの冬、インフルエンザが流行すれば、インフル関連として再び注目されそうだ。(編集担当:寺尾淳)