【日経平均】全ては為替次第の無粋な50円安で3日続落

2013年11月20日 20:27

 NYダウは8.99ドル安で5日ぶりに反落し一服。一時は16000ドルにもタッチするが、高値警戒感に加えてバーナンキFRB議長の講演待ちもあってもみあい。20日朝方の為替レートは、ドル円は100円台前半、ユーロ円は135円台半ばで、前日よりも円安方向に戻しユーロ高が進んでいた。

 取引時間前に発表された10月の貿易統計は市場予測より2807億円も悪い1兆907億円。それも輸出は18.6%伸びている。踊り場が2日続いた日経平均は49.79円高の15176.35円と高く始まる。すぐ15200円にタッチするが長続きせずマイナスになる時間帯もあるが、30分ほどで15180円付近で落ち着いた。ところが日本時間で午前9時に始まったバーナンキFRB議長の講演内容が伝わり、量的緩和政策の早期縮小に否定的だったにもかかわらず日経平均は急落し、10時を回ればドル円が100円を割りそうになりマイナスまで転落。10時30分すぎ、上海、香港市場がプラスで始まり日経平均もプラスに持ち直すが、11時台には再び急落し15088円まで下げ、前場はマイナスで終了する。

 後場は下げ幅を圧縮したのは最初の15分だけでマイナス圏の30円値幅で上下動を繰り返す弱々しい相場。それでも午後1時20分すぎにはヌッとプラスに浮上し、プラスとマイナスの間を往復する値動きが50分ほど続く。だが、為替のドル円がたびたび100円割れし、2時をすぎると再び急落をみせ15069円まで下げる。徐々に戻しても最後は下げて終わり50.48円安の15076.08円。相変わらず需給は不安定で、先物の大口売りに押されて3日続落した。TOPIXは-3.43の1233.43で続落。売買高は21億株、売買代金は1兆7657億円で、商いは前々週の水準に逆戻りした。

 それでも値上がり銘柄805は値下がり銘柄791を14上回る。業種別騰落率のプラスは9業種で、上位は繊維製品、パルプ・紙、鉱業、ゴム製品、食料品、金属製品など。マイナスは24業種で下位は保険、銀行、電気・ガス、不動産、建設、水産・農林などだった。

 日経平均構成225種は59対144で値下がり銘柄優勢。プラス寄与度1位はオリンパス<7733>と和解して60億円を得るテルモ<4543>で、2位は出資先のアリババの馬雲会長が2014年中の香港上場に意欲をみせ、ロボット事業参入のニュースもあったソフトバンク<9984>。合わせて寄与度+3円。マイナス寄与度1位はファナック<6954>で、2位は連騰が7日で途切れたファーストリテイリング<9983>。合わせて寄与度-12円。

 金融関連はこの日もお休みでメガバンクは全て下落。野村HD<8604>は売買高、売買代金とも4位でも3円安。自動車は東京モーターショーから新車、新技術の華やかな話題が出ても反応なし。全て為替次第という無粋な値動きで頭を抑えられトヨタ<7203>10円安、日産<7201>3円安、富士重工<7270>14円安。それでも5円高のホンダ<7267>、新興国に30車種を投入と報じられ6円高のスズキ<7269>が健闘していた。テスラ・モーターズが電気自動車用バッテリーの供給を受け続けると表明してパナソニック<6752>は4円高になっていた。

 東レ<3402>は野村證券が炭素繊維の成長性に期待してレーティングを引き上げ29円高。売買高、売買代金とも6位に入っていた。繊維製品セクターはナイガイ<8013>が3円高で年初来高値を更新するなど好調で業種別騰落率首位だった。逆に最下位に沈んだのが保険セクターで、前日に主要企業9月期決算の大トリで3メガ損保の東京海上HD<8766>、MS&ADHD<8725>、NKSJHD<8630>が発表を行ったが、それぞれ60円安、50円安、61円安と、改善した業績が株価に全く反映しなかった。

 JT<2914>は抗HIV薬がヨーロッパで承認されたニュースで5円高だったが、第一三共<4568>は2014年中に脳卒中予防薬の新薬を発売し売上1000億円を目指すと報じられた一方で、開発中の抗血栓薬エドキサバンの試験データは先行薬と差がつかず超大型新薬にならないという見方が出て76円安で値下がり率13位と散々だった。

 ランキングでは売買高、値上がり率とも上位10位までの半数が株価300円以下の銘柄で低位株物色が目立つ。日本コンベヤ<6375>は18円高で値上がり率1位、中越パルプ工業<3877>は12円高で年初来高値を更新し同5位。昭和電工<4004>は2円高で売買高10位、保土谷化学工業<4112>は11円高で値上がり率15位だった。

 保土ケ谷区にはないが神奈川県一円に店舗網を持つ家電量販店のノジマ<7419>は公募増資315万株、売出し65万株+オプション57万株で34億円を調達すると発表し希薄化懸念で128円安。ベトナム、カンボジアに投資するという。家電量販店に限らず小売業はリアル店舗で商品を確かめてネット通販で買う消費者行動「ショールーミング」の〃被害〃に苦しむが、イオン<8267>は全国約1600店舗で、スマホで商品のバーコードを読み取ったらそのまま注文し商品を宅配してくれるサービスを始めると発表したが6円安。注文前にネットで値段を比較されたら何をやっても同じことだろう。

 前日ジャスダックに新規上場のANAP<3189>は2日目で5100円の初値がついて公開価格の1000円を5.1倍上回り、初値が公開価格を上回る連勝記録は37連勝に伸びたが、その後はストップ安で終値4100円。この日は東証マザーズに2銘柄が新規上場したが、M&A仲介業のM&Aキャピタルパートナーズ<6080>も電子書籍配信のメディアドゥ<3678>も初値はつかなかった。M&Aキャピタルの新規上場でGCAサヴィアン<2174>が73円安で値下がり率1位、メディアドゥの新規上場でイーブック<3658>が113円安で値下がり率10位と、「新規IPOで同業売り」の現象がみられた。

 この日の主役はシャープ<6753>。21円高の299円で値上がり率3位、売買高、売買代金とも1位と売買が集中した。三菱UFJモルガンスタンレー証券が業績改善を評価してレーティングを「アンダーパフォーム」から「ニュートラル」に引き上げ、さらに日経新聞がヒューレット・パッカードに複写機をOEM供給すると報じたため上昇幅をひろげた。シャープが大株主のパイオニア<6773>も連れ高して13円高になり、値上がり率7位、売買高3位に入っていた。(編集担当:寺尾淳)