【日経平均】237円高で5月22日以来の終値15600円台

2013年11月25日 20:26

 前週末22日のNYダウは54ドル高で連日史上最高値更新の〃宇宙旅行〃。感謝祭ウィーク前の手じまい売りも目立たず尻上がりに上昇し、前日のNYダウの16000ドル突破に続きS&P500も1800の大台に初めて乗せた。クリスマス商戦前にナイキが増配を発表して1%上昇。ドイツの景気指標が良くユーロ円が2009年10月以来の137円台をつけ、25日朝方の為替レートはドル円は101円台前半、ユーロ円は137円台前半になっていた。

 イランの核開発問題でアメリカなど6ヵ国が合意に達し、地政学的リスクの低下で原油先物価格が安くなり外部環境が好転。日経平均は123.06円高の15504.78円と15500円台に乗せて始まる。上値が重く午前9時台にはいったん15500円を割り込むが、ドル円が101円台10銭台から40銭台まではね上がると前日ザラ場高値を越えて上昇し、相変わらずの為替連動。「日経平均先物を買って日本円を売る」というトレードが活発になっている。いったん下げても10時30分をすぎると再び上昇し一時は15600円を突破し15500円台後半のまま前引け。後場は15500円台の少し下げた水準で推移したが、円安が進んだ午後2時台には再び15600円をたびたび超えるようになり、終値は237.41円高の15619.13円で高値引け。5月22日の終値ベースの年初来高値15627円まであと8円に迫った。TOPIXも+11.04の1259.61で高値引け。売買高は25億株、売買代金は2兆2569億円で、値がさ株の商いが多く売買代金が膨らむ。

 東証1部の値上がり銘柄は1209で68%を占め、値下がり銘柄は427。33業種別騰落率は値上がり31業種で、値下がりはその他金融、海運の2業種。値上がり上位は情報・通信、保険、電気機器、精密機器、パルプ・紙、輸送用機器など。下位はゴム製品、不動産、食料品、建設などだった。

 日経平均採用225種はプラス180銘柄、マイナス32銘柄。プラス寄与度1位は香港上場計画の話が出たファーストリテイリング<9983>で、気象庁が平年と比べ冬型の気圧配置が強まり全国的に寒くなりそうという3ヵ月予報を発表し、今冬も「ヒートテック」が売れそう。2位は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げたソフトバンク<9984>で、株価は8500円、時価総額は10兆円を超えた。3位はファナック<6954>で、「御三家」が揃い踏みし日経平均を102円押し上げた。マイナス寄与度1位はJT<2914>で-2円。後には東急不動産HD<3289>、住友不動産<8830>と不動産銘柄が続いた。

 メガバンクはみずほ<8411>1円高、三菱UFJ<8306>4円高、三井住友FG<8316>値動きなしで、野村HD<8604>4円高、大和証券G<8601>2円高と金融、証券はおとなしい。対照的にドル円101円台後半への円安進行で元気だったのが東京モーターショー開催中の自動車セクターで、トヨタ<7203>は90円高、ホンダ<7267>は70円高、マツダ<7261>は18円高。電気機器セクターもメリルリンチ証券が目標株価を引き上げたパナソニック<6752>39円高、東芝<6502>13円高、ソニー<6758>6円高などおおむね上昇したが、シャープ<6753>は売買高1位でも1円安だった。

 ポーランドのワルシャワで開かれていた「COP19」が23日に閉幕。二酸化炭素排出権の取引枠を使い途上国に環境技術を提供と報じられた日立造船<7004>は3円高。二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーの風力発電用風車の約3割が故障で停止中といわれる中国でその再生事業に乗り出すと報じられた安川電機<6506>は13円高だった。

 東京電力<9501>が福島県の浜通り地方に最新鋭の「石炭ガス化複合発電(IGCC)」の火力発電所2基を2020年にも建設すると報じられ6円高。これは三菱グループのプロジェクトで、資本参加も行う三菱商事<8058>は14円高、三菱重工<7011>は4円高、三菱電機<6503>は12円高になった。

 三越伊勢丹HD<3099>は、3年間で1000億円を投資して日本橋三越、新宿伊勢丹など主力店の改装を行うと報じられ7円高。2014年に中国での出店を2.4倍に拡大するファミリーマート<8028>は10円高だった。

 22日に上半期業績を上方修正しストップ高比例配分の80円高で値上がり率1位のミタチ産業<3321>はパチンコ台用電子部品の販売拡大が貢献した。ミツミ電機<6767>は三菱UFJ証券がレーティングを引き上げ82円高で値上がり率3位。ベアリングのジェイテクト<6473>は前場急上昇し80円高で年初来高値を更新した。前週から派手に買われているドワンゴ<3715>はセガサミーHD<6460>と提携して、セガのスマホゲームにニコニコ動画の視聴者を誘導すると報じられて85円高で売買代金9位。セガサミーHDは32円高だった。

 主力値がさ株が買われて株価指標が上がる日は、相対的に低位株、テーマ株はお休み。低位建設株が値下がり率ランキングに顔を揃え、熊谷組<1861>が3位、淺沼組<1852>が7位、大豊建設<1822>が9位、佐田建設<1826>が10位。主力株が不振の日は「幕間つなぎ」でまた買われるだろう。コンクリート杭の製造と基礎工事のジャパンパイル<5288>は通期業績見通しを上方修正しても公募増資と売出しによる需給悪化懸念のほうが強く122円安で値下がり率トップ。大林組<1802>9円安、大成建設<1801>3円安、鹿島<1812>3円安などゼネコン株も揃って売られていた。

 前週末、中国が尖閣諸島も含めた東シナ海上空に「防空識別圏」を設定しアメリカが強い懸念を表明したというニュースが流れ、防衛関連銘柄がスクランブル。石川製作所<6208>は8円高で値上がり率10位になり、豊和工業<6203>は29円高。22日に東証マザーズに新規上場したじげん<3679>は2日目9時53分に公開価格600円の2.9倍の1750円の初値がついた。「公開価格<初値」はこれで40連勝。6回連続で新規上場2日目に初値がついている。

 この日の主役は半導体関連銘柄。アメリカのマイクロンなど日米20社以上が連合し次世代メモリー半導体を共同開発するというプロジェクトが明らかになり、日本側の主力の日立<6501>は7円高、ルネサスエレクトロニクス<6723>は29円高、東京エレクトロン<8035>は100円高、信越化学<4063>は90円高など、揃って株価が上昇した。(編集担当:寺尾淳)