NYダウは109ドル高で初の終値16000円に乗せて史上最高値更新。新規失業保険申請件数が前週比で2万1000件も減少した〃にもかかわらず〃株価は上昇した。22日朝方の為替レートはドル円101円台前半、ユーロ円136円台前半と円安進行。ECBのドラギ総裁がマイナス金利を否定して騒ぎを収め、ユーロは大幅高になった。
日経平均は147.85円高の15513.45円の大幅高で始まるが15500円を守りきれず割り込む。前日高値から136円もマドを開けて高く始まると高値警戒感が強く上値を抑えられる。それでも午前10時30分すぎから再び円安が進んで15500円を突破し、11時に15579円まで上昇して前引けは15554円だった。
後場もその水準で始まるが、15分ほどで下落が始まり15500円を割り込み、15400円も割り込み、マイナスに落ちて1時間弱で15307円まで約250円の大幅下落。ドル円も101円を一時割り込むほど円高方向に動いたが、それ以上に先物の利益確定・大口売りの勢いが旺盛で、やはり週末の金曜日。代わりに10年物国債の債券先物が買われていた。20分ほどでプラスに戻っても、15400円台に上げたかと思えば2時すぎには再びマイナス圏に下がるなど先物売りに翻弄されっぱなし。
乱高下がおさまると2時台は前日比小幅高でもみあいが続き、16.12円高の15381.72円で2勝3敗、前週末から215.80円上昇して今週の取引を終えた。プラスで終わったが、前場でピークをつけて後場急落したところは半年前の5月23日の「ミニ版」と言えそうだ。TOPIXは+2.26の1248.57で、最近は日経平均に大きく離されていた上昇率が逆転しNT倍率は圧縮。日経平均が日中値幅272円の乱高下だったため、売買高は30億株の大台に乗せ、売買代金は7月19日以来の2兆9022億円にふくらんだ。
値上がり銘柄580より値下がり銘柄1021のほうが76%も多いが、東証1部33業種別騰落率は17対16でほぼイーブン。値上がり業種上位はその他金融、証券、電気機器、その他製造、鉱業、保険など。値下がり業種下位は鉄鋼、ゴム製品、水産・農林、空運、電気・ガス、食料品などだった。
日経平均終値はプラスでも採用225種はプラス90銘柄対マイナス113銘柄だった。プラス寄与度ダントツのトップがソフトバンク<9984>で+21円。2位はホンダ<7267>の+4円。マイナス寄与度トップはファーストリテイリング<9983>で-11円。2位は-5円のアステラス製薬<4503>だった。
銀行セクターはマイナスで、メガバンクはみずほ<8411>1円安、三菱UFJ<8306>5円安、三井住友FG<8316>70円高とまちまち。証券株は業種別2位と好調で、野村HD<8604>は7円高、大和証券G<8601>は20円高で年初来高値を更新し、SBIHD<8473>は29円高。小幅でも4日続落して停滞気味だったトヨタ<7203>は60円高と大きく反発。日産<7201>は、首都ティンプーのクルマを全て電気自動車にする計画があるブータン政府に「リーフ」を納入する話が伝わったが、人口10万人で5000台程度では材料にならないらしく値動きなし。東京モーターショーで新車の評判がよく前日大幅高のホンダは55円高と続伸した。
シャープ<6753>は、亀山第一工場で中小型IGZO液晶パネルを増産しアップル以外にも供給するという材料で大幅上昇し25円高。値上がり率3位、売買高1位、売買代金4位。パナソニック<6752>も25円高。日立<6501>は23円高と買われたが、経済産業省が2050年の市場規模15兆円という見通しを発表した再生医療に関して、ソニー<6758>は得意の画像技術を応用したiPS細胞の解析装置を開発したものの19円安だった。
クラレ<3405>はデュポンの自動車のフロントガラスなどに使われる機能性樹脂ビニルアセテートの事業部門を買収という材料を好感されて40円高。下期は半導体製造装置の受注が5割増の見通しと報じられた東京エレクトロン<3088>は50円高。JT<2914>はフィリップモリスの日本積極投資の報道の影響で95円安。札幌が本社のツルハHD<3391>は中国地方トップクラスの広島のドラッグストア「ウォンツ」のハーティウォンツの買収を発表し330円高と急伸した。
「お台場カジノ構想」に動きがあり、フジメディアHD<4676>、三井不動産<8801>、鹿島<1812>がカジノ併設の巨大ホテルなど統合型リゾートを建設・運営する計画概要を発表。しかしフジメディアHDは53円安、三井不動産は5円安、鹿島は2円安と反応なし。韓国でカジノ運営の実績があるセガサミーHD<6460>は12円高だった。
値上がり率1位は整形外科器具の販売会社の日本MDM<7600>で、ストップ高の80円高で年初来高値更新。アメリカのFDAから人工膝関節の新製品が薬事承認された。45円高で年初来高値更新のカシオ計算機<6952>が値上がり率13位、185円高のローム<6963>が同率13位、540円高の任天堂<7974>が同16位とハイテク系主力株がランクインし、業種別1位のその他金融セクターのオリックス<8591>が73円高で年初来高値を更新し同17位に入っていた。
東証マザーズに新規上場のじげん(ZIGExN)<3679>の事業内容は自称「ライフメディアプラットフォーム」。主力は求人サイト運営で社長はリクルート出身の30歳。公開価格は600円だが1380円買い気配で初値はつかなかった。
この日の主役は「御三家」のソフトバンク。終値は2.26%上昇の180円高で8150円。8000円を突破して連日の年初来高値更新で「ソフトバンク相場」の声も聞かれる。この日もウォールストリートジャーナルがヘッジファンドのサードポイントが発行済株式数の1%を取得したと報じ、野村證券が目標株価を8590円から8920円に引き上げて1957億株が売買され、売買代金はトヨタにダブルスコアの差をつけてトップになった。
ソフトバンクは昨年11月22日の終値は3000円そこそこだったが、スプリント買収、巨額の社債発行、ガンホー<3765>のウルトラ級の孝行息子ぶり、アリババの上場話など話題に事欠かないこの1年間で株価は約2.7倍に。サードポイントのダニエル・ローブ氏はソニーの経営に注文をつけるが、海外での買収戦略や財務などに口をはさんできたら、孫正義社長は言うことを聞くだろうか。(編集担当:寺尾淳)