ルノー・ルーテシアは本国フランスでは「クリオ」を名乗るBセグメントを担うルノーのトップブランドだ。もともと、1972年に発売し、先進的なエクステリアデザインと高い実用性を備えたことからヨーロッパで大ヒットしたルノー5(サンク)の後継という位置づけだ。このベストセラーカーは何と1984年まで生産が続いた。
その後、第2世代のシュペール5(Super 5)に引き継がれ、1990年にルーテシア(クリオ)にスイッチした。今年、日本に正式に導入されたモデルは4代目「ルーテシアⅣ」である。
第43回東京モーターショーで日産ブースの正面に陣取ったルノーのスペースは、ほぼルーテシアのためにあるといって過言ではない。日本に導入されているすべてのルーテシアが展示。
なかで異彩を放っているのが、10月14日に発表されたばかりの「LUTECIA RENAULT SPORT」(ルーテシアRS)だ。すべてのルーテシアのエクステリアは複雑な曲線で描かれ繋がれた面構成が特徴だ。人によって官能的、魅惑的とその面構成をかたり、リアホイールアーチとリアショルダーのデザインを指してスポーティ、ダイナミックとも言う。多彩なイメージを抱かせるクルマなのだ。
ルーテシアRSは200psのハイパワーエンジンを搭載しただけの“ジャジャ馬”ではない。お転婆娘ではあるが、時と場合を選ぶ。普段は快適なイージードライブ出来るようにもセッティングされ、必要となれば優れて卓越したパフォーマンスを発揮する。そのための1.6リッターターボエンジンであり、「ノーマル」「スポーツ」「レース」のモード選択が可能な「RSドライブ」とハドルシフト装備6速EDC(エフィシェントデュアルクラッチ)トランスミッションなのだ。
スポーツパフォーマンスを発揮する足まわりだが、快適な乗り心地も備えている。その秘密はハイドロニック・コンプレッション・コントロール(HCC)を装備したサスペンションにある。HCCはメインダンパーの内部にセカンドダンパーを組み込み、最適な減衰を得るメカニズムで、ルノーが長年ラリーシーンで蓄積したノウハウが詰まっている。
ルーテシアRSには写真のRSシャシーカップとRSシャシースポールの2種が存在。大きな違いはタイヤサイズで、前車が18インチ、後車が17インチとなる。
このクラスでも、日本車やドイツ車はプリクラッシュブレーキなどで“自動運転”に動き始めている。が、ルノー・ルーテシアRSには「クルマはヒトが動かし、愉しむもの」という、ラテンの気概が内包されているようだ。(編集担当:吉田恒)