BMWの新世代スポーツは“M”ではなく“i”が標準仕様

2013年11月29日 12:35

BMW i8

TMSで公開されたBMWが2014年にリリース予定のPHV(プラグインハイブリッド)スポーツ「BMW i8」。後ろに控えているのがEV(電気自動車)の「i3」で、これも2014年発売だという。

 欧州、なかでもドイツのプレミアムカー・メーカーは世界販売で絶好調だ。高価格・高付加価値でハイパフォーマンスモデルが目白押しだ。が、しかし、来年2014年に発効する「CO2排出規制」は少量生産のプレミアムメーカーには足枷になる可能性が大きい。そこで、今年になって競ってハイブリッド車(HV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)を発表している。

 独BMWが東京モーターショー(TMS)で公開したBMW i8とそのi8の後ろに控えたBMW i3もそんなモデルだ。なかで、ここではi8にフォーカスする。

 BMW i8は当初から、俊敏な走りを可能にする極めて効率の高いプラグイン・ハイブリッドのスポーツカーとしてデザインされた。BMWが i8専用に開発・製造するプラグイン・ハイブリッド・システムは、エフィシエント・ダイナミクスによる革新性がさらに進化した。エフィシエント・ダイナミクスの基本原則は、ドライビング・プレジャーを高めながら燃費を削減すること。この基本を追求したモデルがBMW i8だという。

 このBMW iシリーズ初のPHVスポーツi8は、スポーツカーに相応しい動力性能とコンパクトカーに匹敵する低燃費を獲得した、新世代スポーツカーの草分け、未来のパーソナルモビリティを実現するモデルとして2014年にデビューする。

 BMW i8は新世代2+2座スポーツクーペモデルの新世代のスポーツカーである。フロントビューは、カバー・パネルの幅の広いキドニーグリルがボンネットの低さを強調、フラットでパワフルな印象を与える。

 BMWが同社のEVやPHVのために開発した駆動技術「BMW eDrive」が、BMW i8の技術的なハイライトだ。この駆動システムを構築するために、駆動モーターと組み合わせる新しい1.5リッターの直列3気筒ガソリンエンジンが開発・搭載された。この2つのパワーユニット(フロントの電気モーターとリアのガソリンエンジン)のパワーはスムーズに繋がり、スポーツモードでは4輪駆動として高いトラクション能力を発揮する。しかもシステム合計出力362 ps(266 kW)のパワーは、高レベルのパフォーマンスをもたらす。0~100 km/hの加速は4.4秒で達成、最高速度は250 km/hでリミッターが作動する。

 このHPVのためのEUテストモードで測定したBMW i8の平均燃費は、100km走行あたり2.5リッター(日本風に書き換えると40km/リッター)というとんでもない燃費をマークした。加えて、CO2排出量は1km走行あたり59gだ。

 エンジンをカットした、EV走行の航続距離は約35kmだが、i8は走行中も3気筒エンジンで常時充電することができる。つまり週末のドライブなどで、自宅からインターまでの市街地では電気で走行し、高速道路に入ったらエンジンの動力でバッテリーを充電しておき、到着した先の観光地では電気で走行できるように十分な電力を確保できるわけだ。

 EVが欲しいけれど「集合住宅で充電が?」とか、「遠出で電気が無くなったら?」という心配を解消する最適解のように思えるPHVだが、平均年間走行5000km未満の日本人乗用車ユーザーには“EVもHVも、ましてやPHVのスポーツ”などは、意味が無いのかもしれない。(編集担当:吉田恒)