スズキが2013年12月末に翌年1月8日から発売する軽自動車のクロスオーバーSUVというべき「ハスラー(Hustler)」を発表した。11月に開催された第43回東京モーターショー(TMS)で参考出品車として展示されたクルマである。今回のTMSでスズキのブースを飾った参考出品モデルで、唯一市販されるモデルが、このハスラーだろう。
今や新車販売の2台に1台が軽自動車という時代。ただ、売れ筋は実用性とぎりぎりまで室内空間を広く、という“超・真面目な軽”という気がするのは筆者だけではないはずだ。そんななか、Honda N ONEだけが “レトロ感”を漂わせながら、しっかりとしたクルマとして“造り込み感”もあり、突出して異彩を放っている。
そんなレトロな雰囲気を持った人気車N ONEを他メーカーが黙ってみているはずもない。そんななか登場したのが、このクロスオーバー軽の「ハスラー」だ。ある意味で定番からはみ出した異色作だ。70-80年代にバイクに乗っていたお父さんには「あぁ、あの“オフロードバイク”が復活か?」と思うかもしれない。が、今回の新型はあくまで四輪車。
スズキのヒット作であるワゴンRのプラットフォームを使い、最低地上高を高めて、ラフロード走破性を身につけたのがハスラーだ。これまで軽自動車に存在しない乗用車とオフロードモデルの中間に位置する。言ってみれば、ジムニーとワゴンRの中間モデルだ。スズキはこのハスラーで軽自動車の新ジャンルを開拓しようというのである。
どうしてもパイクカーとも思えるような内外装のファンタジックな雰囲気に目が向いてしまうが、パワーユニットは同社の軽自動車の定番、NAとターボの2種。ベーシックグレードには5速マニュアルもあるが、基本はCVTを組み合わせる。悪路走破性を意識しているが、この手にクロスオーバー車の常套で4WD車だけではなくFFモデルもラインアップする。そして、ワゴンRと同様の燃費性能を上げる「スズキ・グリーンテクノロジー」を採用してNA.CVT.FF車でJC08燃費26.8km/リッターを達成している。
安全性能では、やっとESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム:横滑り防止装置)を上級グレードに標準装備した。
スズキのTMSブースを見た人ならお分かり頂けると思うが、このハスラー以外で市販される可能性を持ったモデルはない、と思う。今のスズキの“売り”は、“低燃費と安い価格”を実現する技術力に尽きる。(編集担当:吉田恒)