メルセデス・ベンツは2013年、Eクラスに対してフルモデルチェンジに匹敵する大規模なマイナーチェンジ行なった。同時にSクラスをフルモデルチェンジして、EクラスとSクラスのポジションを明確に区分けした。
同社のEクラスはセダン、ステーションワゴン、クーペ、そしてカブリオレまで網羅するフルラインの体制で、個人のオーナードライバーに向けて訴求する。一方、Sクラスはセダンのレギュラーホイールベース・バージョンとロングホイールベース版を用意。ショーファーカーを前提としたポジションでマーケットに提案する恰好となった。
メルセデスは国内輸入車新車登録台数で1-11月期4万7483台(前年比131.6%/JAIA調べ)と、2013年度の2位をほぼ確定した。販売統計という性格から台数しか明示されないが、売上額という側面では、フォルクスワーゲンと比較して1台あたりの単価で圧倒するメルセデス・ベンツが輸入車トップだと思われる。
まず、Eクラスだが、ボディは前述のとおり4種のボディを持つ。世界的に見ても同じモデルで、これほどのバリエーションをフルラインで提供。ユーザーにとってはフルチョイスできる、これほど多彩なクルマはない。加えて、パワーユニットは2リッター4気筒ターボ(211ps)から、AMG仕様の5.5リッターV8ツインターボ(585ps)まで、ハイブリッドを含めて6種類を用意する。
クルマを「自分で運転して愉しむ」というドライバーにとってクルマのモデル選びで悩んだ後で、Eクラスに決めた後に更に「ボディ形状を考え、エンジン選択で迷う」楽しみがあるモデルといえる。
メルセデス・ベンツ最大のボリュームゾーンであるEクラスの大規模マイナーチェンジ、Sクラスのフルモデルチェンジに先駆けて大きく変貌したのが、いちばん小さなメルセデスがAクラスだ。Aクラスは1994年にスタディモデルが発表され、97年にデビューした初代W168型は、トールワゴンにも似たメルセデス初のFF車だった。そのコンセプトは2代目にも継承されたが、2013年1月に日本にやってきた新型Aクラスは、まったく異なるコンセプトで我々の前に現れた。
3代目のAクラスは、2012年春のジュネーブショーで参考出品、全長をおよそ400mm伸ばして、全高を160mmほど下げた。結果として、欧州で最も競争が苛烈といわれるフォルクスワーゲン・ゴルフやBMW 1シリーズ、プジョー308などのCセグメントの真っ只中に飛び込んできたモデルに大胆に変貌したのである。
たしかに、この“セグメントC”で覇権を獲得したブラントが欧州を征し、世界のボリュームゾーンを征する。この分野には前述のライバル以外に、ボルボV40やアウディA3、マツダ3、トヨタ・プリウスなど強力な面々が顔を揃えている。
2014年、ダイムラーベンツは、もっと強力な刺客を世界のマーケットに向けて投入する、はずだ。(編集担当:吉田恒)